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シン・現代詩レッスン33
今日も川本皓嗣『アメリカの詩を読む 』から「第4講 花ひらくモダニズム」からカミングス『時まさに』をやりたいと思ったのは、「シン・俳句レッスン」のほうで俳句から影響を受けたパウンドとカミングスとを比較して批評したのだが、カミングスの詩を書いているうちにカミングスの魅力をカミングアウトするぐらいに好きなってしまった。カミングスの魅力は一言で言えば高柳重彦並の多行分け現代詩なのだが、一言では言えない魅力がある。
時まさに E・E・カミングス
時まさに
春 世界は泥んこ
かぐわしく、ちいさな
びっこの風船売りが
遠く かすかに 笛を吹く
と、えでぃやびるが
ビー玉遊びや海賊こっこから
駆けてきては、時は
春
とりあえずいつも通りに模倣していくことにする。
時すでに
時すでに
梅雨だ
苦だ
もう梅雨明けは来たのか誰もしらない。
いつものことだった。
過ぎてから
あれが梅雨明けだったと
大人たちは平気でいう。
だから毎年梅雨だ
苦だ
でも子供にはプールがあった。
プールには白いコインが落ちていて
それを集めて
アクアマンの弟子にしてもらうのだ
アクアマンはアクアマリンの国に住んでいた
けどたいこもももこも悪魔マリンとしか言えないから
悪魔マンと言うのだった
空は梅雨だ、
苦だ
プールの底はアクアマリンだ
アクアマンの
支配する
プー
ルだ
言葉遊びの世界かもしれない。もううだるような暑さで頭がいかれているから冷たいシャワーを浴びてプールにいた時代を思い出す。
時は
春
そし
て
山羊足の
風船売が 笛を吹く
遠く
かす
かに
時は
梅雨だ
苦だ
だか
ら
裸のアクアマンの
三叉の
三叉路
は遠く
僕は
浮
上
す
る