富岡多恵子『返禮』
『現代詩手帳 2023年9月号』が富岡多恵子特集だった。アンソロジーを編集したのは伊藤比呂美でこの詩はいいと思った。富岡多恵子が観念語を使う詩人ではなく日常語で比喩も少ないという。詩そのものが比喩というのか問いなのである。
タイトルの漢字意外に難しい言葉はない。タイトルも旧字で書かれているから難しく感じるのであり、新字体では「返礼」だ。ざっと読んで「あい」のことを言っているのだろうと理解出来る。だがこの「あい」が難解だ。ただその決意書みたいな詩である。
あいよりも言葉をもとめていたのかもしれない。あいなんてありきたりな言葉などではなく。
ほとんどここは変える必要がないぐらいに共感してしまう。ここは飛ばそう。
「嘔吐」はサルトル『嘔吐』を意識していると思う。しかしそういうインテリじゃないから「嘔吐」なんてないと書く。それは胃痛の返禮なのだ。