とりあえず芥川賞の選評を読む
『文藝春秋2022年9月号』
第167回芥川賞発表
借りたいと思っていた芥川賞掲載号の『文藝春秋』が図書館で借りられた。でも前回ので半年前のだった。今月号は『文藝春秋』もなかなか借りれないと思ったので、Amazonで注文してしまった。これから読みます。
前回の芥川賞掲載号の『文藝春秋』。芥川賞受賞作は、高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』。
今回の受賞作は趣味が違うと思うぐらいに今の小説にはついていけなかった。文章は読みやすくスラスラ読めるのだが、まず価値観の問題なのか?「おいしいごはんがたべられますように」という価値観は間違っているとは思えない。自分も食事はいい加減だけど、二谷の効率化の思考が浅すぎると感じた。ようは食欲よりも性欲タイプで、その二人が結婚したという喜劇だと思うのだ。
能力主義の押尾さんは旧弊の中小企業にはついていけずに辞めていく。でもそれは弱者である芦川のせいではないよな。この会社がそういう会社なだけなんであって芦川さんは生き残り戦術としての気配りの人なのである。お菓子配るとかやり過ぎなところはあるが、それまでの苦労があったはずだ。そこが描かれていないから芦川さんは弱さだけを演出する嫌な人のように思えるが。
誰に感情移入するかによって読み方も違うのだろうが、三角関係のラブコメとして読めば、二谷視点かなと思う。つまり性格の違う二人に言い寄られたがハズレくじ引いちまったよ的な。喜劇だから、結婚で終わるのがセオリー。
まあ普通のラブコメとして読めば面白いんだろうけど、これは直木賞タイプだよな。エンタメ小説の部類かと思う。こういう女いるよなという能力主義の出来る女であるわたしが置き去りにされるというような。
でも男視線だとやはり芦川さんのほんわかムードは魅力的に思えるところはあるかもしれない。おいしいものを食べたいもの。価値観の問題なのか?「おいしいごはんがたべられますように」という価値観は間違っているとは思えない。自分も食事はいい加減だけど。
芥川賞は、いつも選評を楽しみにしているが、もうとんでもない選評する人がいなくなってつまらなくなっていた(石原慎太郎とか宮本輝とか)。辛口選評なのは、山田詠美か。『ギフテッド』の文章を拙く書いてみろというのはそうかもしれないと思った。描写が凝りすぎて読みにくかった(本人は川端康成を手本としているようだ。いわゆる美文という文学タイプ)。最後の母の詩ぐらいでいいというのは納得(まず今は読みやすさを求められる。受賞作はその点で抜群に上手いのだ。悪口小説だからか)。『N/A 』は良かったけど評価する人がいなかった(複雑な感情を文章化)。受賞作は能力主義みたいで嫌いだ。『あくてい』は読みたいかな。
ウクライナ戦争「超精密解説」 小泉悠X高橋杉雄
「ウクライナ戦争」の対談は、この時期にロシアの敗戦が濃厚なような感じだったが未だに続いている。というかより悲惨になっている。アメリカ製のミサイルがマニュアルが難しく、コールセンターに電話するという話は笑った。コールセンターに永遠に待たされてしまうとか。超精密兵器を使いこなせないウクライナ軍ということか。これは旧世代にとっては辛い話だ。車でもいきなり説明無しに新車に乗れるわけがない。テクノロジーは便利なようでいて落とし穴があるのだった。春ぐらいには使いこなせているだろうという話。
あとドローン兵器の威力は驚異になっているという。もう大型の戦闘機とか基地とかいらない時代なんだよな。その古い武器を日本はアメリカから買わされている。