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マルのソロ・ピアノだけでは悲しすぎる

Mal Waldron"One-Upmanship"
Mal Waldron — piano
Manfred Schoof — cornet (tracks 1, 3 & 5)
Steve Lacy — soprano saxophone (tracks 1, 3 & 5)
Jimmy Woode — bass (tracks 1, 3 & 5)
Makaya Ntshoko — drums (tracks 1, 3 & 5)
"manship" — 11:05
"Duquility" — 8:31 Bonus track on CD reissue
"The Seagulls of Kristiansund" — 11:20
"Thoughtful" — 6:07 Bonus track on CD reissue
"Hooray for Herbie" — 19:39
"Soul Eyes" — 6:49 Bonus track on CD reissue
Recorded at Conny's Studio in Wolperath, West Germany on February 12, 1977 (tracks 1, 3 & 5) and at Tonstudio Bauer in Ludwigsburg, West Germany on May 8, 1978 (tracks 2, 4 & 6).

先日の大友良英「ジャズ・トゥナイト」は、「1970年代のジャズレーベル特集」でした。大好きなヨーロッパ・レーベルでエンヤというレーベルがあるのですが、最初に紹介されて嬉しかったです。ホルスト・ウェーバーとマティアス・ウィンケルマンという2人のドイツの若者のがヨーロッパで演奏していたマル・ウォルドロンのファンで彼の演奏をアルバムにしたいが為にレーベルを立ち上げたとか。記念すべき第一作がマルの『ブラック・グローリー』だったのです。マルはエリック・ドルフィー&ブッカー・リトル『アット・ザ・ファイブスポット』を聴いてから大ファンでした。

マル・ウォルドロンは『レフト・アローン』という大ヒットアルバムがあまりにも有名で、ビリー・ホリデイの伴奏者でデビューしました。それからチャールズ・ミンガスのワークショップで鍛えれれて、プレステッジでコルトレーンやドルフィーなどの新しいジャズを求めてアルバムを出しています。だいたい『マル1』から『マル4』ぐらいで終わってしまうジャズ・ミュージシャンだと考えられていますがアメリカで演奏できなくなるとヨーロッパへ渡った活躍した人です。日本でも人気があり(『レフト・アローン』のおかげ』で亡くなるまでライブに来ていました。誕生日にマルのエンヤのアルバム『ア・タッチ・オブ・ザ・ブルース』にサイン貰って「平和」と書いてもらったんだ。

そんなマル・ウォルドロンが鬼才ソプラノ・サックス奏者のスティーブ・レイシーと組んだ白熱のライブが『ワン・アップマンシップ』。トランペットのマンフレッド・ショーフとのカルテット(五重奏団)なんでエリック・ドルフィー&ブッカー・リトル『アット・ザ・ファイブスポット』が念頭にあったのかもしれないですね。そのぐらい熱いライブです。ここで注目すべきは、やはりスティーブ・レイシーでしょう。彼はセロニアス・モンクの影響を受けてソロとか多いのですが、カルテットでこんなにも熱い演奏はないと思います。動から静の展開が見事な"The Seagulls of Kristiansund"のレイシーの演奏は素晴らしい。このアルバム以後も共演をしていたレイシーはマルが亡くなった後に追悼アルバム『ONE MORE TIME』でも最後のセッションで演奏しています。そのアルバムも「鳥の歌」的でいいんだけど、やはり全盛期の熱いライブ演奏を。

(ジャズ再入門vol.23)

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