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シン・現代詩レッスン12
レッスンになる詩を探していたのだが、やはり宮沢賢治に戻ってしまう。「岩手軽便鉄道」は『春と修羅』に納められているが二つ詩があり、最初は「岩手軽便鉄度の七月ジャズ」というタイトルで内容も違う。「岩手軽便鉄道の一月」翌年の一月なのだ。二月とか三月もあってもいいと思うのだがそこまでは作らなかったか掲載しなかった。七月に較べて一月のほうが整理されていて、内容も明快だった。一月の車窓なのだが、木々に挨拶をするというのは詩人なら当たり前のことなので不思議はない。鏡を吊るしというのは銀世界のきらめきのことをいっているのか。カタカナは外国名だと思う(違うかな?)。クリスチャンネイムみたいなもんだ(適当だ)。
賢治はけっこう外国名が好きだったのだろう。ジョバンニとかカンパネルラとか。そんな感じだと思う。ちなみにこの詩が『銀河鉄道の夜』に発展していくのは予想がつくと思う。電柱が樹木と一緒にあるのも賢治らしい(賢治の電柱は魅力的だ)。岩手軽便鉄道は現在のJR釜石線で賢治の世界と今を繋いでくれる。鉄道は例えば小田急線でもJR釜石線と繋がり、岩手軽便鉄道につながり、それが銀河鉄道まで繋がるのだ。
岩手軽便鉄道の一月
ぴかぴかぴかぴか田圃の雪がひかってくる
河岸の樹がみなまっ白に凍ってゐる
うしろは河がうららかな火や氷を載せて
ぼんやり南へすべってゐる
よう くるみの木 ジュグランダー 鏡を吊し
よう かはやなぎ サリックスランダー 鏡を吊し
はんのき アルヌスランダー [鏡鏡鏡鏡]をつるし
からまつ ラリクスランダー 鏡をつるし
グランド電柱 フサランダー 鏡をつるし
さはぐるみ ジュグランダー 鏡を吊し
桑の木 モルスランダー 鏡を……
ははは 汽車(こっち)がたうたうなゝめに列をよこぎったので
桑の氷華はふさふさ風にひかって落ちる
小田急線極月
トンネルの闇を抜ける
そこは雪国だったことはない
想像の中で銀河鉄道に繋がっていると君がいう
真っ白に凍って走るのはシベリアか
終点はアウシュヴィッツか
ガザの子供たちを乗せたのか?
よう、カンパネルラ答えてよ
よう、ジョバンニは知らんぷり
イスラエルの神の最新列車と最新兵器と
AIの果てのネット世界に
暗黒列車の乗り換え駅は
どこで降りればいいのだろう