見出し画像

さらば、マイ臓器 #3(最終話)

#2からだいぶ時間が経ってしまいました。
日々に追われているうちに、術後の痛みはすっかり無くなり、
入院前の不安な気持ちは、一体なんだったっけ?と思うまでになりました。
人生って忘れていくことの積み重ねなのかもしれません。
改めて、オンタイムで思いを綴り、弱さをさらけ出せてよかったなあと思っています。

入院前の弱ささらけ出しスペシャルはこちら↓

前回、術後翌朝までを書きましたが、
その後昼に歩行許可が下りてから体の回復はとても早かったです。
最初は立ちくらみもし、起き上がるのもままならない状態でしたが、
夕方には自力でシャワーを浴びられるまでになりました。
人間の体って凄い。

翌日にはさらに楽になり、
さらに翌日、入院5日目でめでたく退院。
帆布バッグを「ほいさ」と肩にかけて、なんなく自力で自宅まで帰れました。
私の、出産以外での生まれて初めての入院生活はこうして幕を閉じました。

思い返してみると、
先生、看護師さん、掃除のおばちゃん、売店のおばちゃん、
病院のごはん、窓から入ってくるそよ風、午後の木漏れ日、
病棟の中はいつも穏やかな時間が流れていて、
下界のコロナニュースを忘れるぐらいでした。

退院が近づく中、だんだんとジミー先生(執刀医)の強烈キャラクターも、
患者の不安な気持ちを取り除くための
手法なんじゃないかと思い始めてきました。
ビジネス・ジミー。
熟練の技。
きっとそうだと思います。

病院で働く皆さんのおかげで
緊急事態宣言下でも、こうして不安を抱くことのない環境に居られたんだと
感謝でいっぱいでした。

入院、手術も私にとっては非日常ですが
病院にお勤めの方にとっては日常。
毎日向き合ってきてるんだと思うと、
頭が下がるばかり。
医者はみんな高級車乗ってんな〜などと散歩しながら息子に発言していた自分が恥ずかしい。
つかの間の休日ぐらい、ランボルギーニでもブガッティでも
ぶいぶい乗ってください。


退院して約2週間後、
傷の経過を見てもらうため、再びジミー先生(執刀医)の元へ。
「青谷しゃん、青谷しゃん、2番までお入りくだしゃい」
という先生本人のアナウンス。
計算なのか天然なのか分からないところも
きっと熟練の技です。


摘出した卵巣の病理検査の結果は「良性」ということでした。
何やら粘液がつまっていた様子。
解体したマイ臓器の写真を見せられ一瞬ギャッ!となりましたが
ホッと一安心、肩をなでおろしました。
お腹の傷に貼っていたテープの残っている部分も
「おいしょ、おいしょ」と可愛い声を出しながら丁寧に取ってくれました。

「これにてひとまず治療は終わりです。
あとは2年に一回の婦人科検診を必ず、必ず受けてね。」
そう告げられ、診察終了。
感謝の気持ちを伝え、診察室を出ました。

さよなら、ジミー先生。
なんだか寂しさがこみ上げてきました。
しかし、できればこのままお世話にならずに健康でいたいのも事実。
様々な想いを抱きながら病院を後にしたのでした。

-

「さらば、マイ臓器」のシリーズはこれでひとまず終わりです。

コロナ禍真っ只中の今、医療に従事されている方々には賞賛の気持ちしかありません。
母不在の中頑張ってくれた家族一同にも頭があがりません。(後日クソ美味い寿司をおごりました。)

ここからは個人的な見解でのお役立ち情報ですが、
・限度額適用認定証の効力が凄い。
・ゼルダの伝説をダウンロードしておいたがゲームをやるマインドにならなかった。(病室でswitchを触っているのを見られるのもなんとなく恥ずかしかった。)
・結局読書が疲れなくて丁度いい。
・耳栓最強説。

参考にしても参考にしなくても。

通院したり、入院したり、
こういった話題は、なかなか人にしゃべるのも億劫で
溜め込んでしまいがちです。
どこかで誰かがここにたどり着いて
こいつもそうだったのかと思ってもらえたら嬉しいです。

お読み頂き、ありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?