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日記 憧れの贅沢貧乏。

 10月6日(日)

 6時起床。晴天寄りの曇天。早番勤務。
 起きて身支度をし弁当を作り、朝食は食べずに7時過ぎには家を出た。日曜日の朝の空気。家の隣の公園では毎朝7時からラジオ体操が行われている。いつもはバタバタと洗濯物を干しながら音を聴いているだけなのだが、今日初めてラジオ体操をしている人々を目撃した。おじさんやおばさんが15人ぐらい。すこやかな人たち。彼らを横目にMariMariを聴きながら、バス停まで歩く。

 駅のすぐそばのモスバーガーにて、朝食。ホットドッグとアイスカフェラテ、510円也。となりのスタバは賑わっているが、奥まったところにあるこのモスは人もまばらで居心地がいい。森茉莉『貧乏サヴァラン』読みながら食べる。ひとの食事の記録を読むことは愉しい。愛する食べものについて存分に語る森茉莉の文章はとてもチャーミング。バターをバタ、と書くところがとてもイイ。メニューはメニュウ、チョコレートはチョコレエト、シュークリームはシュウクリイム。冷紅茶、英国ビスケット、葡萄酒、独逸の下宿式料理、愛しき卵‥‥‥ああ、なんて艶やかで幸福感にあふれた世界!ボロは着てても心は錦、貧乏してても心は貴族。かっこいいなあ、モリマリ。

 優雅な朝読書の効果か、猛烈に混み合う日曜日を心穏やかに乗り越えることができた。ほとんど名の知れていなさそうな、小さな出版社のある本が驚くほど売れていて、追加の発注をした。おそらく全国的にも取り扱い店舗が少ないからだと予想されるが、なんというか、これはすごくいい売れ方をしているなあ、と思った。自分が売れそうと思って仕入れた本が思った通りに売れてくれる、それも瞬間的なものではなく、コツコツと、まるで読者に一冊一冊手渡ししているかのような着実なペースで、日々確実に売れている。うれしくなる。これぞ本屋の醍醐味だ。

 夕飯、夫作の豚丼と味噌汁。アニメ『チ。』を夫が観始めて、冒頭でいきなり登場人物が爪を剥がされるシーンがあって、ヒイイイイとなって顔を背けた。爪はだめだ、爪は。

 ルピシアから届いた津軽りんご風味の煎茶を飲みながら、ルピシアの冊子や天然生活のバックナンバーを読んだ。

 寝る前、新しい茶葉を開けた。台湾の紅玉紅茶というお茶である。美しい名前、不思議な香り。明日の仕事用の水出し茶を冷蔵庫に仕込んでおく。初めてのお茶の味を楽しみに眠る。

 紅茶と睡眠との、絶えまのないくり返しのために紅茶がアッという間に無くなり、買い出しの品目には紅茶が、三日おきに入っている。

森茉莉『貧乏サヴァラン』

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