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日記 食卓に珈琲の匂い流れ。

 10月29日(火)

 8時起床。休日。曇天。
 掃除洗濯済ませ、買い出しへ出発。無印良品週間の恩恵を受けまくる。ずっと探していた白のワイドパンツをついにゲット。通年着られる素材で、真っ白ではなくアイボリーっぽい色味で、動きやすくてサイズもピッタリ。けっこう身長があるので深く考えることもなくMサイズを手に取りがちだったのだが、試着してみたらSサイズがピッタリだった。固定観念を打破せよ。さらにパジャマ、綿のインナー、靴下、お菓子なども購入。書籍も扱っている店舗だったので、さんざん物色して一冊だけ購入した。平凡社コロナブックスの『作家の珈琲』。表紙の松本清張のはにかみ笑顔に惹かれてぱらぱら捲ってみたら、目次に北村太郎の名前があったので即決。

守りたい、この笑顔。


 食材をたんまり購入して帰宅。やけに肉が安いと思ったら、29日なので肉の日だった。昼食、スーパーで購入した唐十のオムライス。美味。
 Apple Musicのライブラリをランダムで流しながら、弁当用の作り置きと夕飯の仕込み。曽我部恵一、久石譲、YEN TOWN BAND、鈴木真海子、oasisなど流れる。おやつは無印のチョコがけバナナバウム(バウムシリーズのミニサイズを提案してくれた方に感謝の気持ちを伝えたい)、ソイラテ。

 

 早速『作家の珈琲』読み始める。魅力的な写真と文章ばかりで、どのページも面白い。客人にアフォガートを楽しそうにふるまう井上ひさし、喫茶店で催眠状態に陥る中上健次、コーヒーに砂糖を三杯ぶちこむ松本清張(ひとのコーヒーにもぶちこむ)。楽しみにしていた北村太郎のページは、錚々たる面々に囲まれてなんだか息をひそめてひっそりとしているような、いないような。喫茶店の窓際の席に静かにすわっている北村太郎の姿が目に浮かぶ。テーブルにはきっと、珈琲とエクレア。わたしは北村太郎の詩が好きだ。

コーヒーいい匂い
ヤバいおもい
さんさんと日は昇りつつある
いかなる情念にとりこまれようともゆるせ
かなたにひかる海よ

北村太郎『五月の朝』

——ともあれ、あした
また、口笛のように風が吹き出すとしても、きょうは、
きょう、生きるに値する幻があればいいのだ
たとえば、白いコーヒーがなみなみと茶色の茶碗につがれる、ある夜の!

北村太郎『白いコーヒー』


 茨木のり子のページが特に興味深くて、そういえば一冊持ってたよな、と思って本棚から引っ張り出した。MUJI BOOKSの茨木のり子。珈琲の匂いというものは、人々の心を掴んでゆさぶるものなのだろうか。

米も煙草も配給の
住まいは農家の納屋の二階 下では鶏がさわいでた
さながら難民のようだった新婚時代
インスタントのネスカフェを飲んだのはいつだったか
みんな貧しくて
それなのに
シンポジウムだサークルだと沸きたっていた
やっと珈琲らしい珈琲がのめる時代
一滴一滴したたり落ちる液体の香り

静かな
日曜日の朝
食卓に珈琲の匂い流れ‥‥‥
とつぶやいてみたい人々は
世界中で
さらにさらに増えつづける

茨木のり子『食卓に珈琲の匂い流れ』


 夕飯。鮭のたくあんタルタルがけ、小松菜のわさび和え、にんじんと小松菜の味噌汁、とろろごはん。日本シリーズ第3戦、ベイスターズが初勝利。なんだか自分のことのようにホッとした。明日の仕事用の水出し台湾緑茶を仕込み、寝室へ。寝るときにレッグウォーマーを履くようになった。

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