2023-9-19「『鵼の碑』読了」
『鵼の碑』、百鬼夜行シリーズ17年ぶりの長編とのことです。最初の『姑獲鳥の夏』が1994年とのことらしいですから、読み始めてから30年くらいの年月が流れていることになります。
どの長編も非常に長く、それでいて面白いためページをめくる手が止まりません。30年前くらいに読んだ時は先が気になって寝るのも忘れて読んでしまい、最終ページをめくった時は朝の4時だった、なんてこともありました。
今はそこまでの無理はできませんので、先が気になりつつも栞をはさみながら少しずつ読んでいきます。たくさんいる登場人物のために読書メモをつけながら、ようやく読了しました。
何を語ってもネタバレになってしまいますが、冒頭に数節引用されているいくつかの古典を見た時の読書メモを載せておきます。まだそこしか読んでない時のメモなのでネタバレにはならないはずです。
最初の古事記、万葉集、で語られる「ぬえ」「ぬえ鳥」は普通の夜鳥をさしているように思う。
その後平家物語の源頼政の鵼退治のエピソードが語られる。
「鳴く聲は、鵼にぞ似たりける」
思いこんでいた内容と違う気がする。
この化け物は声がぬえに似ているだけでぬえではないのか?
他の部分が猿・虎・蛇などに似ているのと同じで、声がぬえに似ている、と並記されているだけなのだ。だが、「鵺を射たり」とある。やはり鵺は化け物の名なのか。
いや、違うのか? 「夜に矢を射て」「鵼の聲が止んだ」のだから、正しく鵼を射たのか。なんとなくこの食い違いにそわそわする。
今読み返して違和感の元に気づく。頼政、二回怪物を退治している?
最初の一匹は頭は猿、身体は狸、手足は虎、尻尾は蛇、出す声は鵼に似た生き物。この化け物の屍はうつほ舟に入れて流された。
その後宮中に現れた怪鳥を鏑矢で射落としている。この時も「鵼」と呼び表されており、この時最初の化け物も鵼という名で呼ばれるようになったのか。
あとづけというか、見立てというか。最初から、鵺の聲の話しかしていなかったというか。千々に混乱する。
まあこの小説はよくできているので冒頭の引用がただ引用しただけではなくて小説全体と対応していたりするわけですが!
以上、ここまで読んでいただいてありがとうございました!
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