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「Chants of Sennaar -4- 各民族の説明その3」
「バベルの塔」の伝説を基にした、塔の中で言葉も文化も価値観も異なった人々が断絶する中、ひとりの異邦人が人々の間の価値観をときほぐす謎解きアドベンチャーゲーム、「Chants Of Sennaar」の民族紹介、最終回です。
ネタバレが発生する可能性があります。物語や謎解きの根幹に関しては言及しないよう注意するつもりですが、気になさる方はブラウザバックをお願いいたします。
第四階層「ファクトリー」の人々
いままでの階層で水力・人力・風力などで動く機構が登場してきましたが、
第四階層はついに電力によるエレベーターが登場します。
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第四階層階層の人々は「錬金術師」と自称しています。研究施設をつくり、物質を化合させて別の物質を作ろうとしているようです。
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燃料や材料は塔の遺構を掘り返して入手しているようです。
錬金術師が第四階層と第三階層とのあいだを掘り返してしまったせいで、迷宮のようになってしまい、そのことが行き来を途絶えされることになった原因のひとつになったのかもしれません。
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まず目に入るのは複数の研究施設。
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大がかりなマイニング場。
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そして立派な図書館です。
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円弧と小円を主体にした、いわゆる「錬金術記号」に似た体系の文字を使っています。エンジニアらしく、0~9の数をあらわす文字があり、組み合わせることによって4桁までの数を1文字で表すことができます。
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また炭素・金・銀・銅などの元素をあらわす文字があり、研究によって文字体系が拡張しているのがわかります。
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さらに上の階層の住人は錬金術師にもわからない未知のテクノロジーを持っているようです。かれらが「妖精」と呼んでいる上の階層の住人は、空をとびまわり塔を作り、さらに未知の金属で扉をつくって塔を閉ざしてしまいました。
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この未知の合金の作り方を探求しているのが錬金術師です。研究に邁進しているかれらは吟遊民よりも親しみやすい気がします。
図書館には力を入れているいっぽうで、食べ物は簡素な食堂に詰め寄って、トレーに入ったものを腹につめこむだけ、というのも親しみを持てるのですが、我が身を振り返るような設定ですね。
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第五階層「エグザイル」
浮遊した椅子で移動し、無数のコンソールの中で生活するテクノロジー。
あきらかに現代を超えるテクノロジーを所有したかれらがこの塔を作ったのは間違いないようです。
人々は巨大なバイザーで端末に「接続」され、仮想現実の中で人生の大半の時間を過ごしているようです。
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話しかけるとバイザーを外して会話してくれる人もいるのですが、ほとんど排他的な言葉しか返ってきません。「あっちに行け」「放っておいてくれ」のような。
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人によってはぴくりとも動かず、モニターらしき場所からホワイトノイズだけが表示されています。完全に没入しているのか、あるいはすでにこと切れているのか……
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このVR施設そのものが「エグザイル」で、自分たちは「エグザイルの民」と自称しているようです。
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文字は2進数を線で表現したような高度に洗練された形式。往年のシューティングゲーム「ゼビウス」に登場する「ゼビ文字」のような雰囲気があります。
非協力的な人が多く、フィールドワークは難しいのですが、塔のあちこちに「ほかの言語とエグザイル文字を対応させるパズルゲーム」がおいてあり、それにより文字の大半が判明します。
パズルを作るために、一度はすべての文字を理解したのでしょう。
しかしかれらはエグザイルの中にひきこもり交流を断絶させるようになってしまいました。
下の階層にあったターミナルもかれらが作ったものだったのでしょうね。
エグザイルの民は他の民たちをおそれ、塔を扉でとざし自分たちは仮想現実に入ってしまった。
錬金術師たちはとざされた扉のために研究を進めていたが、下層に迷宮を作ったり研究の果てに怪物と化してしまった人もいる。
吟遊民たちは怪物にはばまれ、怠惰な民族になってしまう。
戦士たちは交流を妨げられた結果、隣人を理解せず盲従や支配をするだけの民族に。
信徒たちは最下層での暮らしを余儀なくされ、塔の上のことを神と神格化してしまっている。
諸問題のほとんどが「無理解による断絶」によるものだとする、この流れが本当にうまいですね。
ここで主人公の、あきらめない心と、5種族すべての言葉を理解できるスキル(いずれもプレイヤーの力です!)をもって諸問題をどんどん解決していく最終フェーズにうつっていきます。
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もしこのゲームに興味をもっていただけたなら、ぜひご自分でそのエンディングをご覧いただけたらと思います。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。