11月2日「ドラゴンクエストのセーブの歴史」
ゲームのセーブの歴史、「ドラゴンクエスト」に限定して語ってみます。
ふっかつのじゅもん
ゲーム状態を何ビットかのデータの中にぎゅっと詰め込んで、そのデータに符号化や暗号化をほどこして数文字のひらがなに変換したものを、王様が教えてくれる、ふしぎな復活の呪文、という演出にしたものです。
書き写すのも大変、入力するのも大変。「ぬ」と「め」とか「ぽ」と「ぼ」とか、画像が鮮明ではないので見分けるのに苦労した記憶があります。
「ドラゴンクエストII」では大変な長さになってしまいました。
短所は多いですが、紙に書き写すので「いくつも過去の状態を保存しておける」「リメイクされたりしても前の機種で書き残したものが使える」「何十年経っても保存が可能。他のどんな記憶媒体よりも保存できる期間が長い」などの特徴もあります。
バッテリーバックアップ(ファミコン版)
ファミコンのカセットのなかに小さなボタン電池を内蔵して、その電池の電力でRAMの内容を保存しておく…という方法です。ファミコンの電源を切ると、電力がゼロになる前に電池の電力に切り替わってずっとデータを保持します。
これによりセーブできる内容が格段に増えました。宝箱を開けたか開けないか、みたいなことを保存するだけで1ビット必要なので、もしふっかつのじゅもん形式だと宝箱をあけるごとに呪文の長さが増えていくことになったでしょうが、バッテリーバックアップならいくらでも保存できます。
しかしファミコンには電源を切った時の保護回路がついていなかったため、スイッチをパチパチ切り替えた時のノイズでCPUが誤動作して、メモリの内容をでたらめに書き換えてしまう可能性がありました。
「リセットを押しながら電源を切る」ことでCPUを停止させたまま電源を切る、という苦肉の策がとられました。それでもノイズが発生したり、接触が悪かったりでデータが消えてしまった人も結構いたそうです。
バッテリーバックアップ(スーパーファミコン編)
スーパーファミコンには保護回路が入ったので、電源スイッチを切っても誤動作することがなくなったらしいです。だからこんどは「リセットを押さずに電源を切れ」という方式に変わったそうで。
ほんの数年でやり方が変わってしまうのは混乱しただろうなと思います。
フラッシュメモリにセーブ
メディアがカセットからCD-ROMやDVD-ROMに変わり、バッテリーバックアップは使用できなくなりました。その代わりに登場したのがフラッシュメモリにセーブする機能です。
残念ながらこのころのフラッシュメモリは容量も少なく、また保存には時間がかかるようになったため、ここでも少しセーブに対する考え方が変わってしまいます。
バッテリーバックアップ時代は「セーブは一瞬で行われるもの」くらいだったのに「セーブは時間をかけて行うもの」に逆戻りしてしまいました。
しかしこれも一時のことで、フラッシュメモリの容量や速度はぐんぐん上がっていき、簡単にセーブできる感じになってきます。
例外として「ドラゴンクエストXオンライン」はサーバーに接続するのでサーバー側にセーブされますが、
基本は今でもフラッシュメモリに保存するのが完全に当たり前になっていますね。
方法や技術が進化するごとにセーブできる内容が増えるだけでなく、セーブに対する感覚もどんどん変わってきているように思います。
最初はセーブは手間がかかり、消滅するかもしれない大変な作業でした。保存する内容も吟味し、タイミングも最小限の、プレイ中断時だけに限ろうとしていました。
保存媒体が進化すると同時に機械や回路も進化して、よっぽどのことがない限りセーブ失敗しないようになってくると、セーブはほぼ自動で行われておりプレイヤーの好きなタイミングでそれを確定するようなシステムになっているようです。
今後セーブ媒体がどう変化していくか、おそらくクラウド化などが進んで、よりプレイヤーが意識させないような方式になっていくんじゃないかな、と思います。
以上、ここまで読んでいただいてありがとうございました。