10月12日「1UP」
1UPというのは、もともとは1UP、2UPという、ふたりで遊ぶときの1人目、2人目、という意味だったと聞きます。
それがビデオゲームでのExtend、Extraと同じような、「自機」がひとつ増える意味になった、いちばん最初のケースはわからないのですが、
有名になったのは、あきらかに「スーパーマリオブラザーズ」によってです。
「スーパーマリオブラザーズ」における1UPというのは、単に言い方が違うだけではなく、自機が増える、ということの意味付けも違っていると思います。
エクステンドは文字通り「ゲーム時間延長」、コインを入れてゲームオーバーになるまで遊べる、ゲームオーバーまでの猶予時間を少し延ばすことができるようになるボーナスのことだったと思います。
自機を増やせるのは「ハイスコアを出した」あるいは「複雑なエクステンド条件をすべて達成した」、「ゲーム的に隠されているアイテムを見つけ出す」などで、例外的に得られるものでした。
コインを入れてプレイするビデオゲームで、自機がいくらでも増やせてしまうと何時間もプレイされてしまい、コインを入れてくれなくなってしまうのでお店はつぶれてしまいます。自機が増える難易度は非常に高くしておかないといけなかったのだと思います。
ファミコンもアーケードビデオゲームの再現が多かったですし、オリジナルゲームであっても簡単にクリアできてしまっては「高いお金を出したのにすぐ終わってしまった」と文句が出てしまったことでしょう。エクステンドが発生する確率は下げるのが当然でした。
しかし、スーパーマリオブラザーズは「ゲームに隠されているアイテムを見つけ出す」ことによるエクステンド、つまり1UPキノコを見つけると1UPする、という仕掛けの他にも、
敵を連続で踏みつけたり、甲羅で連続で倒したりするとどんどん得られるスコアがあがっていき、ついには1UPする、という「ある程度テクニックは要するが、敵を連続で倒すだけで1UP」という仕掛けと、
「フィールド上にたくさんあるコインを取るだけで、100枚ごとに1UPする」という、地道に収集するだけで簡単にできる1UPがあります。1UPしまくりです。
スーパーマリオブラザーズはステージが多く、構成も非常に多彩なため、ちょっと自機が増えたくらいではそうそうクリアされない、という自負があったのだと思います。
「1UP」がうまくいったことと、「1UP」したときの音の快感に我々は魅了され、瞬く間に「1UP」という言葉が他の言葉を一掃したのをおぼえています。
このあたりから、ファミコンのゲームはアーケードゲームのような形態から、じっくりプレイするゲームが増えてきました。その変化のきっかけのひとつになったのがこの1UPだと思いました。