キゲンのとりかた
自分のキゲンのとりかたくらい心得てる
美味しいコーヒーをていねいに淹れて
いつもより高いアイスクリームを食べる
映画をみて涙が出るまで笑う
ラベンダーのバスソルト
パソコンもスマートフォンもoffにして
この世界から消える
洗いたてのシーツに身をなげ
夢の底で
わたしは死ぬ
射しこむ朝陽に照らされると
まっさらな日常と目が合って
腹の底からの安堵がカラダを駆ける
沐浴のようにシャワーを浴びれば
生まれたばかりの女が鏡の中にいる
何度、自分を殺しただろう
何度、生まれたのだろう
そこには何もかもがあるように見えたが
はじめから何も無かったのだ
誰かを深く愛したような気がする
愛されたような気もする
すべて自分で作り上げた幻なのかもしれない
どうってことない
いつもと変わらないやり方で
「キゲン」をとりつづけるだけ
これまでも
これからも
死んでは生まれる
宇宙の法則にしたがって