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生活ギライの秘密基地ぐらし

生活に必要なものは人によって変わり、こだわりもそれぞれあるだろう。
テレビは必須!布団よりベッド!ソファーは革製のものがいい!とか。その人の「世界」を垣間見るようで、人の家に遊びに行くのは結構好きだったりする。

そこで僕の「世界」はというと、『足りないものだらけ、満たされるものだらけ』といったところだ。
僕は生活が苦手だ。自炊はできない、整理整頓は苦手、皿洗いはたまり、公共料金の支払いは余裕を持って行えない。普通が苦手で人が生きていく上で当たり前にする日常生活の行動全てがめんどくさい。そんな僕なので、日常を感じるものが少なく好きなものが詰め込まれた秘密基地、といった家が出来上がってしまったのだ。
まず洗濯機が無い。さらに包丁とまな板とフライパンがない。そしてテレビがない。他にも細々と人の家に当たり前にあるものがないが。

だが、代わりにワクワクするものは色々ある。
僕の家の作業机はボタンを押すと高さが変えられるちょっといい机で、作業用の椅子にカウンターチェアを使っている。本棚に並ぶ大量のDVDを、壁に投影するプロジェクターの大画面で見られるし、インテリアとしてガチャガチャがある。大好きな絵本作家のJunaidaさんのでかいポスターに見守られながら仕事だってできる。好き勝手な感じだ。結構気に入っている。

そんな部屋に暮らすそんな自分だからこそ、当たり前に生活ができる人を本当に尊敬する。朝起きて支度をする、掃除をする、ゴミの日にゴミを捨てる。めんどくさがっても、結局できなくはない。始めるまでにかなり時間はかかるが。でも一つできれば自分を褒めてあげたい日々の中で、いくつもを当たり前としてすぐさま動き出せる人は本当に凄い。
自分には何もできないなんて友人によく言われるが、君は朝起きて皿を貯めずに洗ってシンクも洗えるんだ。凄い生き物なんだと僕は彼らに対して声を大にして褒める。だいたいその後僕の生活に関する説教をうけるのだが…。

まあ、もし自分のできることに関して悩んでる人がいたら、コップで水を飲んでそのコップを洗ってみてほしい。そしたらあなたは洗い物を貯めなかったすごい人だと、この秘密基地から盛大に拍手を送るよ。
見習って僕もたまってるのを洗ってみるから、お互い頑張ろう。

友人ウケが良い我が秘密基地には今日もお客さんが来る。
僕の生活を心配してくれる友人Rは僕の部屋を見て変な笑みをこぼす。
「…なんでガチャガチャがあんの。」
「欲しくて、つい。」
「ガチャガチャ回してる場合か!洗濯回せ!」
上手いことを言う。おっしゃる通りである。


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