ディグダ求めて三顧の礼
ディグダのドーナツは二日連続売り切れだった。 お仕事でイベントに参加して、土日とも休日出勤、ずっとお日様の下に立っていた。いくら十一月といっても太陽は真っ直ぐに光を送ってくる。さすがに二日目午後には眼球が悲鳴を上げて頭が痛くなっていた。毎年サングラスを買おうと思うんだけどな、買わないんだよな。とりあえず頭痛薬を飲んで日陰に避難した。しばらくすると痛みは引いたけれど今度は寒い。冬の公園はとても御しがたい。
疲れ果てて帰宅の土日、その両方でミスドに寄った。ポケモンコラボをしているからディグダが買いたかったのだ。ピカチュウはいいのだ、ディグダが欲しいのだ。どうやら大人気なようで、二日間とも売り切れていた。そりゃ夕方に行けばそんなもんかと思いながらピカチュウと目が合う。ピカチュウ、君はは悪くない。ただディグダのドーナツとの相性の良さに君は負けたのだと心の中で慰めた。 自分はチョコオールドファッションを買った。ごめんよピカチュウ。
帰宅。しばらくぐったりとして布団に潜り込んでいた。今日見れていなかったＳＮＳをチェックして世界の華やかさと犬のかわいらしさに拍手する。いい加減寒いしお腹が空いたのでもぞもぞと這いだしてご飯をたべた。作る気力は無く、卵かけご飯だった。それからチョコのオールドファッション。ドーナツの袋に描かれたディグダの可愛らしさにうっとりして、目の前の茶色い輪っかにディグダを夢想する。想像ならディグトリオだって私のポケモンだ。友達はミスドを三軒まわり、ディグダのドーナツ三つでディグトリオを錬成していた。
食べて満足して、あったまろうと風呂を沸かした。 洗面所で手を洗い、なんとなしに洗濯機と洗面台の隙間を見るとべちゃべちゃに濡れていた。慌てて洗面台の下の棚をあけると水が漏れている。沸かした風呂どころではない。キッチンペーパーを一巻き使い切って水を拭き取った。幸いだばだば水が溢れているわけではなく、Ｕ字パイプが外れかけていただけのようだ。素人ながらにとりあえず填め込んだ。入居時になんか契約していたところに電話して修理も依頼。すごいな、一人暮らしを始めた頃、エアコンが変な音を出したときは全力で慌てた。でも今日は淡々と対処できた。騒ぐ体力が無かったとも言える。
すっかり冷めたお風呂に継ぎ湯をして入る。踏んだり蹴ったりだな、と思ってふと首を傾げた。踏んだり蹴ったり、ってなんだ。踏んで蹴る側なら別にいいじゃん。言うなら踏まれたり蹴られたり、でしょ。継ぎ湯しても風呂はちょっとぬるい。
どうやら本来加害者側の視点の言葉だそうだ。風呂上がり、真っ先に検索した。
明日は駅に行く。そしたらまたディグダチャレンジをしたい。水道の修理は夕方に来る。
