データ復旧プロの見解:パソコンに飲み物をこぼしてもデータ復旧の望みはある。
私たちの日常生活では、パソコンに飲み物をこぼしてしまうことは珍しくありません。しかし、このようなトラブルが発生した際、多くの人はどのように対処すればよいかわかりません。
いざ起こると大慌てで水分を拭ったり、ドライヤーで乾かしてみたり、電源オンオフを繰り返したりしてしまいました。
今回の記事では、データ復旧のプロフェッショナルである小菅大樹さんに、パソコンに飲み物をこぼした際のデータ復旧の可能性と対処法について聞きました。
■データ復旧のプロフェッショナル 小菅大樹さんに聞きます
■パソコンに飲み物をこぼした際の対処法
ーーパソコンに飲みものをこぼしてしまった際にどんな影響が起こるのでしょうか?
小菅:パソコンの基盤(マザーボード)が液体に濡れた場合、重大な問題が生じる可能性があります。特に基盤に液体がかかると、ショートしやすくなり、結果としてパソコンが故障するリスクが高まります。
ーーパソコンに飲み物をこぼした際のベストな対処法を教えてください
小菅:次のステップを踏んでください。
➀すぐにパソコンの電源を切り、電源アダプタを外してください
➁数日間パソコンを乾燥させます
※ 糖分を含む飲み物の場合は基盤の腐食リスクがあるのでご注意ください
ーーパソコンが壊れていないか確認は自分でしていいのでしょうか?
いつしていいのでしょうか?(私が起こした事例ですと、麦○をこぼした後電源をオンオフしたり、ドライヤーで乾かしたりしましたが、どうするべきでしたか。)
小菅:まず、液体をこぼした状態で通電させると基盤がショートするのでやらないでください(苦笑)
また、数日は経過させないと基盤に付着した液体が完全に乾きません。
ドライヤーなどを使用することで多少短くすることはできますが、
基盤全てに風が届くわけではないので、結局は数日待つのが安全です。
その後、電源をいれて動作確認するのがいいですね。
その間パソコンは使えないものとして考えましょう。
ーーパソコンが壊れていたらどうすべきでしょうか?
小菅:会社支給のパソコンあれば、素直に担当部署に説明するのがよいです。
ただし、どうしてもどうにかしたい場合は以下の方法で対応できる場合があります。
パソコン修理業者に依頼する。
メーカーの場合、初期化される可能性があり、修理業者に事情を説明し
データを残したうえで修理したいと説明すれば対応できる業者があるかもしれません。
ーーデータだけを取り出したい場合はどうするべきでしょうか?
小菅:状況により2パターンありますので、ご紹介します。
①自分で分解できそうな場合
液体をこぼしただけであれば、HDDやSSDはおそらく無事です。
パソコンの「型番 分解」で検索すれば解説しているページを見つけることができるはずです。
自身で取り外し、別のパソコンに外付けデバイスとして接続すればデータを取り出せるかもしれません。
②自分で分解できない場合や、HDDやSSDに故障が発生している場合
この場合データ復旧サービスを利用するとよいです。HDDやSSDに障害が無ければ当日~数日で復旧出来ることが多いです。
また、HDDやSSD自体に障害がある場合でも修理し、復旧することが可能です。
ーー飲み物をこぼしたというデータ復旧の依頼はありますか?
小菅:相談は月1件の頻度であります。これは全体の母数で言えばかなり少ないですが、日本全体でみれば、推測ですが年間200件以上は飲み物をこぼして困っているのかなと思います。
■飲み物をこぼした場合、MacBookやSurfaceを除けばほぼ100%の復旧率
ーー飲み物をこぼした場合はどのくらいの確率で復旧できますか?
小菅:ほぼ100%復旧できます。
ただし、ストレージが基盤一体型となっているMacBookやSurfaceは復旧が難しくなります。
ーーちなみにMacBookやSurfaceは飲み物をこぼした事例以外でも、復旧が難しい機種なのでしょうか?人気がある機種だけに気になります。
小菅:はい、MacBookやSurfaceは以下の理由により、データ復旧を難しいものにしています。
MacBookはApple T2セキュリティチップによって、ハードウェアレベルで暗号化されており、復号の際にもT2チップが必要となります。
そのため、復号するためにはパソコン自体を修理する必要がありそのハードルが高いです。
Surfaceはチップによる暗号がないのため、自社での復旧実績が多数あります。ただし、Bitlockerが掛かっている場合にはパスワードまたは回復キーが必須となります。
ーーデータ復旧サービスにはどんな設備や装置が必要ですか?
小菅:お客様に安心してご利用いただく為に様々な取り組みをしております。「専門的な設備・装置の導入」については、下記URLを参照ください。
■データを守る対策はデータをローカルに保存しない、バックアップを定期的に取ること
ーー日頃気を付けるポイントは?
小菅:可能であれば以下のようなカップホルダーを利用するのがよいでしょう。
また、データ復旧の観点からはなるべるローカルに保存しないようにしましょう。