令和時代の先生のあり方を考える
こんにちは、H&Eテクノロジー/大阪キリスト教短期大学の原山です。
テックを活用して、幼児教育・保育・教育分野の質を高めることができないか、業務をもっと効率化できないか、ということを日々考えています。教育・保育×テックに関する話題を中心に、不定期で書いていこうと思います!
今回は「先生の在り方」について考えていきます。
保育・教育業界問わず、先生不足は深刻
昨今、メディアでよく取り上げられていることですが、先生のなり手不足はとても深刻です。なり手不足がすべての原因ではありませんが、「保育・教育の質低下」に繋がります。実際どれくらいなり手が減っているのでしょうか。
保育士と小学校教員を例に見ていきます。
(1)保育士
保育士の有効求人倍率は2018年のデータを見ると、全国で3.2倍となっており、他職種と比較してかなり高い数値となっています。
有効求人倍率は、有効求人数÷働きたい人の数で算出されるため、この値が高いほど保育園からすると採用が難しいことになります。つまり、有効求人倍率が3.2倍というのは、一人の保育士を3.2園で取り合う状態を意味します。
2020年時点で、保育士登録者数が約154万人ということで、数だけを見ると足りているのですが、資格は持っているが働いていない潜在保育士が95万人以上いて、60%以上の保育士資格保有者が資格は持っているけど、働いていない、ということになります。
潜在保育士が復職しない理由には、賃金の低さや健康・体力への不安、休暇の少なさ、子育てとの両立の難しさなどがあります。
(2)小学校
採用に苦労するのは保育だけではなく、小中高も同じです。ここでは公立小学校を見ていきます。
公立小学校における採用倍率とは、受験者数÷採用予定者数を指します。つまり、直近の全国の採用倍率が2.5倍というのは、100人が受けて、40人を採用する状況です。定年退職者が増えるなどを理由として、採用者数が増えた場合などには倍率が下がるため、一概に倍率が下がる=質が下がる、というわけではありませんが、受験者数が集まらない場合、質の低下につながる可能性は高くなるでしょう。
根拠は曖昧ですが、「採用倍率3倍を切ると、教員の質の維持は難しい」などと、一部の教育委員会や研究者は主張している方々もいます。
教える以外にも、大量の仕事を抱えている
このように先生の人気が落ちれば、より一層、先生の忙しさが増します。しかも、先生に求められることはとても膨大で、結果として教育の質の低下に影響します。
保育園・幼稚園で言いますと、こどもと向き合う時間以外の、事務作業や保護者への連絡、掲示物の作成やイベントの準備などに、日々忙殺されています。
小中高校ではさらに、いじめ問題への対応や部活動、プログラミング教育、英語(小学校)、休み時間中の見守り、防災対策、補修、学校管理外のトラブル対応、そして最近ではGIGAスクールに伴うICTへの対応など、大量の仕事を抱え込んでいます。
そして、人手不足の中、大量の仕事と向き合う中で、職場環境がブラック化し、さらになり手が減るという負のスパイラルに陥っています。
令和時代の先生の役割
令和時代は、このような負のスパイラルから脱却しないといけません。すでに、保育現場でも業務支援システムの導入が当たり前となり、小中高でも個別最適な学びを支援する学習支援システムや採点の自動化が普及し始めるなど、業務を効率化し、こどもと向き合う時間を増やす取り組みは一部始まっています。
しかし、現場の先生がそれらを使いこなせているかというと、まだまだです。まずは現時点での先進事例を共有し、使いこなすことが大切です。
その上で、さらにもう一歩進めるとすると、先生の仕事の9割をこどもと向き合うところに割き、それ以外の事務作業や一斉授業などはテクノロジーによる自動化、または先生をサポートする人を雇うようにすることを目指すべきでしょう。
(保育・幼児教育と小中高校での教育で違いはありますが、)イメージとしては以下を考えています。
こどもの好きなことをAIカメラや遊んでいるゲームなどから把握し、それらをもとにオーダーメイドでデジタル教材(動画・テスト)が作られ、つまづいているところや学習以外も含め困っていることに先生がよりそう。このような姿こそ、令和時代の先生の在り方ではないでしょうか。
その際、餅は餅屋で、地域・教育機関ごとのデジタル戦略を構築し、推進する専門の人材が先生とは別に採用することを忘れるては、結局現場が疲弊するだけです。先生をサポートする体制を構築することは忘れてはなりません。
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