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原宿のはなし。


少し間が空いたので、今日は黒羽とのゴス時代の話をまた。

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あの当時のこのジャンルの聖地というのはやはり原宿だったので、学生時代に黒羽に連れて行って貰った。


原宿ほどゴスやロリータなどを見る場所は無かったので、なんだか現実味がなくて、狭い路地にもバンド系のグッズが並んでいるのが、別の世界みたいだった。


橋へ行ったり竹下通りでいろんな店に立ち寄った。


好きなバンドのメンバーをトランクに貼っている人を見ると嬉しくて、綺麗なレイヤーさんを見るのも新鮮だった。

ブリティッシュな少年系が好きだった自分はTHE GABRIEL CHELSEAに行きたくて、ラフォーレに入っていたのでそこへ向かった。

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従業員の男性がとても優しい方で、THE GABRIEL CHELSEAの服が欲しくて地元から来たと話したら凄く喜んでくれた。こちらもまだ学生だったので、なおさら優しく対応してくれたのだと思う。

一番欲しかったパンツのサイズが大きすぎて悩んでいたらベルトを貸してくれて、オーバーサイズでも上が長ければなんとかなりそうだったのでそれにした。


小雨が降り出していて、袋から雨が入らないようにしてくれた。
傘はお持ちですか?と心配してくれて、持っていなくて、と答えたらノベルティのタータンチェックの傘をくれた。 

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どういう条件で配布されていたものか解らないけれど、残っていたようなニュアンスだったと思う。

本当はきっと頂ける条件ではなかったと思うので、ずっと公開するものに書くのは控えていたけれど、もうずっと前の話で店舗もなくなったので、良いかなと。

此処で言っても仕方ないけれど、あの時は本当にありがとうございました。 

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☔️


そのあと黒羽が連れていってくれたのは、Moi meme Moitieと人形屋佐吉だった。


黒羽が記憶を頼りに連れて行ってくれたのだけど、道に迷ってすこし歩き回った。
けれど、なんだかそれも迷い込んだようで面白かった。


迷って行き着いた、mana様がプロデュースしていたMoi meme Moitieの店舗は、中へ入ると暗い照明の下に棺桶が立て掛けられていた。そこにマネキンが立っていて、黒服系のゴスロリを着ていた。

レプリカの蜘蛛の巣だらけの店内を行くと、青い照明の店内に噴水があり、ショーケースには黒と青と赤の口紅や、アクセサリーが並んでいた。

青い照明というのは何故か声を潜めてしまう。店内の静寂を退廃的な音楽が満たしていた。

ただ、服の生地などは暗くて全然見えなかった。

この店舗の事はゴスロリバイブルでミツカズさんが紹介していた。

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⛲️


異空間のMoi meme Moitieの空気に余韻を引き摺られながら、表参道の人形屋佐吉へ行った。


殆どテナントの無い閑散としたビルの地下に、森のような佇まいの人形屋があり、緑の樹木に護られたような硝子の中を覗くと、恋月姫の球体関節人形が眠っていた。

アンティーク調の小さな店内は、インテリアも綺麗でアトリエみたいだった。人形や写真集が並んでいて、憧れの西洋の小さな人形店のようで、あんな空間は人生で一度きりだった。

恋月姫の人形が数体あって、人生で初めて生で見た球体関節人形は、生きた精霊のようで本当に美しかったけれど、もしかしたら恋月姫だけではなかったのかもしれない。
その頃は恋月姫しか知らなかったので、全部そうだと思っていたけれど…。

姐さんと行った地元の美術館での人形展はなんだったかな…四谷シモンや吉田良の人形があったと思う。

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恋月姫のものを所有していなくて、手持ちの球体関節人形のカードの写真を。どなたのものかわからない… 

↑友人が教えてくれました!西條冴子さんでした!

恋月姫についての記事を見つけた



🌲


本当に昔の記憶なので、実際は少し記憶違いをしているのかもしれない。
いろいろ画像検索してみたけれど見つからず、確認できなかった。
現代となっては検索で見つからないものの方が珍しいな…

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今は原宿も変わったし、その頃の風景というのは何処にももうあるはずは無く、仮にあっても当時と同じように見えるわけではないと解っている。
今となっては子供だけが行ける不思議の国のアリスみたいに感じる。

マッドハッターみたいな人やアリスみたいな少女が当たり前に歩いていた通り。
不思議の国みたいな小さな店がたくさんあった街。

♠️♦️

この日以降にも竹下通りには行ったけれど、この日だけの記憶と感覚だった。

世紀末に終わり損ねたあの世界が、欠けて消えていくのを見ていたみたいな時代だった。

精神状態がいつもゴシック建築や絵本みたいな森の城、アンティークで退廃的なものの中で生きていたし、知ったばかりのオブジェみたいな言葉が溢れていて、曇りの日や雨の日は特に、世界の見え方が今と全然違った。

今の時代にある未来的に病んだ色彩や毒に浸かったような世界観も好きなので、昔は良かったという話ではないけれど、その当時没入できていた自分の感覚が失くなってしまったのは確実だ。

街から消えたロリータやパンクス、黒服のことを思い出すと、幻のようだったと感じる。

今でもごく偶には見かけるけれど、自分にはそれが残像のように見えて、記憶が引っ掛かるように過ぎっては、すぐに消えていく。

今はもう、青い海を掌に掬っても透明な水になってしまうような、掴めない夢の名残だ。


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青咲
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