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あと九年生き急ぐ―部活と言う名の修羅の門2

 雪子に無視されるようになって、小学生の時の集団無視のトラウマがあった私は、普通に接してくれていた他の友人に対しても、次第に疎外感が生まれた。
 雪子と私は同じ吹奏楽部だったが、パート楽器が違うのと、他クラスのふっちや美香が変わらず仲良くしてくれていたので、放課後の部活の時間はとても気持ちが楽だった。
 そしてフルートの小島さんという子が仲良くしてくれるようになった。
 小島さんは同じクラスだったもののあまり接点がなく、部活が一緒になったことで仲良くするきっかけになった。
 雪子のいるグループに居づらくなっていた私はグループから離れ、教室で過ごす時間は小島さんと居るようになった。
 この選択は私の過ちだった。 

 夏休みは部活動に明け暮れた。
 部活中は楽器別の時は同じサックスのふっち、全体行動の時はふっちに美香、それに美香と同じクラリネットの里奈、絵美、正子と行動を共にしていた。
 絵美は小学3年4年と同じクラスで、5年生に上がるまでに転校してしまった優子、亜希とを含めた4人の仲良しグループの1人だった。
 正子は小学5年6年と同じクラスで、しかもあの集団無視に加わった子で、私は正直あまり一緒にはいたくなかった。
 しかし彼女は「ぞうきん」と呼ばれていた。
 本人が呼ばれるのをやめて欲しいと言っているのを見たことはないが、今思えば、彼女も言えなかったんじゃないだろうか。
 美香は特に私と仲良くしてくれ、同じ漫画好きなこともあって、話題を共有していた。

 しかし、2学期に入ったときそれは起きた。
 美香がふっちの機嫌を損ねた。
 いつのまにかふっちは、かつてのゴリのような存在になっていて、
「美香を仲間外れにしよう」
 と言い出した。
 里奈、絵美、正子の三人はふっちの言う通り、あっさりと美香への態度を一変させた。
 その異変に気付いた美香は私に、
「みんな何か怒ってる? 私、無視されてない?」
 と尋ねてきた。
 私は「いや、そんなことないと思うよ」 と否定し、極力会話をするようにした。
 しかしこの時の私は、本当のことを美香に伝えて、むしろふっちに異を唱えるか、彼女らとの関係を断つべきだったのかもしれない。
 美香は数日のうちに、
「私、嫌われてるみたいだから、グループ離れるね。古谷さんたちが仲良くしてくれるから」
 と言って私たちから離れた。
 私は自分が味わった苦痛が美香に降りかかるのを、防ごうとしなかった。
 あのときのひろみと同じ。
 私はふっちたちに仲間外れにされるのが怖くて、美香を切り捨てたのだ。

つづく。

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