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#84 ゆく年くる年

 2023年がまもなく終わる。去年からの戦争は終わらず、新たな戦闘が始まった。昔からそういうものと放置されてきたことに次々とレッドカードが出された。無くなりはしないけどコロナが明けて日常が戻った。その日常はコロナ前と同じではないけれど、変化は悪いことばかりではない、と思いたい。少し引いてみると、多分時の流れは穏やかなところから早い瀬へと向かっているのだろう。そんな中で、いくつもの喜びや有難い出会いを頂きながら一年を過ごせたことに感謝したい。
 年末に1年分のnoteを読み返してみたら、そこに自分の'23年が濃密に記録されていて驚いた。3月に1年続けた金曜noteが完結して、もう書くことなんてないと思ったのに、読んでくださる皆さんのお陰で思いのほか充実した一年になった。きっと後から振り返ったら奇跡のような時間だったなと思うような気がする。
 今からかれこれ20年位前?、元旦が出勤で、かみさんが一足先に子供たちを連れて実家に帰った大晦日があった。一人でぼんやり紅白を眺めていたら、aikoの唄う「えりあし」が突然ジ~ンと胸に響いてきた。無防備でいた分、歌い手の思いが素直に届いたんだろう。思えば、大晦日の夜は昔から本気の歌に出会えるチャンスだった。レコード大賞が終わって、出演者がNHKに移動するライブ感。その年の大賞曲が紅白のトリを務めれば、それで勝負は決まりみたいな説得力があった。蛍の光で紅白が終わってカメラが切り替わると、画面は一転して雪深いお寺に響く除夜の鐘。その日だけは子供にも夜更かしが許されて、午前0時まで起きていることで大人の仲間入りが出来るような誇らしさがあった。楽しみの選択肢が増えることは勿論いいことで、それはそれで豊かさの一つなんだろうけれど、みんなが同じことを共有していた時代の一体感みたいなものも、今となってはちょっと懐かしくもある。
 来年がどんな年になるのかわからないけど、ともかく今年一年ありがとうございました。私はしばらく冬眠しようかと思います。少し早めですが、皆さまどうぞよいお年をお迎えください!


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