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冬の翼

 冬の午後、西の空に翼のような雲が浮かんでいた。その翼は冬を運んでいくのか、はたまた春を運んでくるものだろうか?
 このところ、仕事でもプライベートでもつくづく人の心は分からないなあと実感するようなことが続いている。何を今更と言われそうだが、普通に考えたらこうやんなあとか、ええ!何でこうなんねん?みたいなことのオンパレードで、勿論当人には当人なりの(ひょっとしたら本人も自覚していないかもしれない)必然性があるのだろうが、傍から見ていると単なる年齢とか性格とかでは説明できない、例えば魂の格?みたいなのがあるのかなあというようなことを思ってみたり。もしそういうものがあるなら、車の若葉マークみたいにおでこにでも色分けしてもらえると助かる。ああ、この人は緑だからまあしゃあないかみたいな。でもそれが可視化されると、ゴールドなのにそんな?とか、だから○○は…とか、またそれはそれで面倒そうだ。免許証みたいに、あれ?あの人確かゴールドだったのにいつの間にか青になってる!みたいなことも起こるかもしれなくて、やっぱり見えないところで想像してる位がいいのかもしれない。
 話は変わるけれど、困惑の一方でうれしいこともあった。娘の一人が仕事で時々文章を書いていて、一緒に観た映画について書いたものを偶々ネットで読んだのだ。その映画のことは私も感想を書いていたのだけれど、娘が書いたものの方が断然深くて美しかった。素人とプロだから当然といえば当然なのだが、いつの間にか娘が(自分のなれなかった?)文章を書く人になったのをはっきりと確認した気がした。正直に言うと若干のくやしさもあったのだけれど、それより喜びの方が何倍も大きかった。もし娘が文章を書く人になるのに、自分の存在が少しでも役に立てていたのなら更に。まあ、私は私で無理せずに書きたいことをぼちぼちと書いていこう。自らの重みでもろみから自然とふな口に溢れ出てくるお酒のようなものが書けたらいいなあ。
 今日は旧暦の大晦日で明日が元旦。先週節分と立春が済んだところだけど、気分を変えるきっかけはいくつあってもいい。


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