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師走便り

 先日の日曜は12月8日だったので、ずっとジョン・レノンを聴きながらドライブしていた。youtubeのリストをかけていたら、やっぱりこれだよなあという曲からあまり馴染みのないものまでいろいろ流れてきて、勿論イマジンやハッピークリスマスは外せないんだけど、今回個人的にピタッときたのはマインドゲームスだった。発表されたのは'73年で、私は中学1年生だった。当時はビートルズを解散した4人がそれぞれソロとして発表する曲がヒットチャートを賑わしていて、この曲がラジオで流れていたのは、確か今頃の季節だったような気がする。歌詞カードもネットもない中で、田舎の少年にはマインドゲームスがマインゲインとしか聞こえなくて、教室で前の席の女の子に、今度のジョン・レノンのマインゲインっていうのがいいんだよ!と薦めていた51年前の自分が恥ずかしい。
 週明け、事務所通路の窓際に置かれたシャコバサボテンに水をやる。もう随分前にお世話になっていた花屋さんから頂いたもので、何となくずっと私が週に2回水をあげている。多分、その存在に目を向けている人は他にいないのだが、12月になって花を咲かせると、おお、また一年頑張ったなあと声を掛けたくなる。今年も花の季節を迎えたが、2鉢ある内の片方は張りのあるピンクの花を咲かせた一方で、もう片方は一向にその気配がない。場所が寒すぎるのか、葉の色が薄く弱々しい。誰も見ていないし、随分古くなったし、そろそろ処分してしまおうか?そんなことを考えながら枯れてしまった葉を摘んでいたら、鉢の向こう側、見えないところに一つだけ小さな蕾がある!ハッとした。ごめん、精一杯生きていたんだな…。改めて水をあげた。
 暑い暑いと言っていた今年も、流石に師走も半ばとなれば冬らしくなって、いつの間にかこの冬は雪が多いのでは?という話になっている。ちゃんとバランスは取れている訳だ。それにしても、東京の銀杏が12月に見頃を迎えているのをSNSで見ると隔世の感を抱かざるを得ない。'80年代、自分が学生だった頃、東京の銀杏は11月下旬の学祭の時に散ると決まっていたのに。日の出はまだ遅くなって、明け方暗い内に見上げるオリオン座の位置が少しずつ変わっていることに季節の移ろいを感じる。駆け足で進む師走も、今週末に今年最後の満月を迎えれば、来週末はもう冬至。在りし日には、父の送ってくれる柚子をお風呂に浮かべていたものを…。
 


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