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目指せ動物園

落語を聴き始めてまだ日が浅いですが、落語会などで「よくかけられる噺」というものが自分の中で意識されるようになってきました。独断と偏見で人気演目を挙げてみましょう。一応、上方落語の場合です。

『動物園』
『看板の一』
『時うどん』

この三本は出会う機会が多いです。中でも『動物園』はよく聴く印象ですね。これだけかかるのだから、何かしら『動物園』独自の強みがあるのだろうと思って、ちょっと考えてみました。


「なんか株価暴落しとるで」「えっ、ホンマに?」

①アクションが多い
虎の動きは勿論ですが、毛皮を被る時も独特のユニークな動きをするので、笑いを取りやすいと思います。

②時代設定がゆるい
誕生は大正時代だそうですが、そのまま現代の話といってもおかしくありません。それでいて動物園がある種の見世物だった頃の呑気な世界観も持っています。古典と新作のいいとこ取りと言いましょうか。

③筋もサゲもわかりやすい
子供から大人までみんながわかるストーリーです。予備知識がいらないことはとても有利。学校寄席などで特に人気なのも納得ですね。

④短い
前座噺の扱いであり、トリでかけられることはあまり無いようです。そういう意味では、演者の方も覚えやすく、演じやすいということでしょう。


「ナナナナナンピンするわ!」「はよ売れボケ」

こうして考えてみると実に優れた噺だと思います。面白さにたどり着けるスピードが早く、現代に合った落語だと言えるでしょう。

けれども、何度も聴いていれば、それなりに飽きは来る。

この『動物園』に相当するくらい高座でかけやすい噺が、もっとたくさんあってもいいと思います。そこはやはり落語台本を志す者として、無謀ながら目指してみたい頂きではありますね。

『動物園』のように面白く使い勝手の良い噺を。

…非常に大それた目標ですが、心に留めておきたいと思います。


グラビアっぽい

今回の画像は「愛媛県立とべ動物園」に行った時のものです。広くて見応えのある動物園なのでお勧めですよー。

落語「動物園」をご存じない方のために、桂福丸さんが小学生向きに演じられた動画を紹介しておきます。あらためて本当に、一本の笑い話として強い構造を持ってますよねえ。