社会人落語日本一決定戦観戦記(中編)
池田市に行くもう一つの楽しみアリ。それは…。
ちいかわ列車である!!
ご多分に漏れずちいかわの沼にハマっている私はこれに乗れるかもしれないことを大変に楽しみにしておりました。そして今、まさに停車中の宝塚行き列車に何やらラッピングが施されているではないですか!
待ってろ、ちいかわ号!!
ウラララララララ!!
イイイヤァーーーーハァアア!!
誰やねん君・・・。
いや、これもかわいいですが…。結局、何度か阪急を使いましたが、ちいかわ列車は遠目にチラと見えただけでございました。結構レアなのかもしれないですね。
さて、社会人落語日本一決定戦の続きでございます。同行した家族と昼食を取り先に帰るのを見送ってから、さてどこの会場で観戦しようかしらと市内をうろうろしたのですが…ほぼ全て満席で入れず!
いや、どこも行列になるとは聞いていたんですけど、ちょっと甘く見てましたね。池田という土地の落語人気と情熱を考えれば当然ですし、出番の終わった出場者の方もどんどん増えて観戦に回りますし、結局あまり他会場は観られずに終わってしまいました。次回はもっと計画的に回ろう。
しかしこのまま予選会終了、結果待ちでスマホ眺めてるだけ…なんてのは勿体ない。ギリギリで最後くらい観れないかと飛び込んだ駅前南会館の会場も残念ながらもう撤収作業中でしたが、帰り支度の人波の中に地元で活躍されてるアマチュア落語家の方を発見。
普段から声をかけたかったんですが、「いつも観てます、台本書いてます、ヨロシク!」なんていきなり現れても「なんだチミは」って気味悪がられるかもしれないじゃないですか。けど、「いつも観てます、今日は作家として参加しに来ました!」ならやや唐突感は薄まる。
ここで声をかけねば、二度とチャンスは無かろう。
と、意を決してご挨拶してみました。結果、地元香川の想呂家笑志(おもろやしょうじ)さん、一緒におられた大阪府の笑人(しょうと)さんと知り合うことが出来まして、審査結果発表時間までの一時間余りを濃密な落語トークで過ごさせて頂きました。ありがとうございます!
実は笑人さんは前回の大会に上方落語台本大賞・優秀賞の「移植屋さん(久坂部羊さん作)」で出場されており、このことが私の台本をこいのすけさんにお勧めするきっかけとなったのです。本当に偶然!英語落語塾を主宰して活躍されているそうです。お会いできて良かった!
さて、時刻は17時。いよいよ結果発表時間。出場者の方々は全員が発表会場の市役所に向かいます。そこへ一緒についていく、落語をやるわけでもない俺。いや、その場に居たいじゃないですか。一応、作者として。
で、出場者は発表会場の7Fに向かい、その他の人(ご家族・お友達・過去優勝者・台本だけ書いた奴…etc)は1Fロビーで待つわけです。人だかりの中に第10回大会優勝者の神楽家小粋さんを発見!今年の新作落語台本募集でも優秀賞に輝いた凄い人です。ここでも勇気を出してお声がけして、お祝いの言葉を伝えさせて頂きました。小粋さんをはじめ様々な人からカッコいい名刺を頂いて嬉しい!
しかしこの待ってる時間が、長いけれどもなかなか良かったですね。賑やかな空気、発表が迫ってくる緊張感、決まった時の歓声、喜びの顔…ここに居合わせることが出来たのは良い経験でした。
私の台本で出場して頂いたこいのすけさんは残念ながら150人のうちから10人という高い壁は超せなかったのですが、山盛りに多くのことを学べた上に、非常に楽しかったです。繁昌亭近くの南森町の居酒屋で、たっぷりと語り合って別れました。山形と香川の900キロを超える距離を繋いだ不思議な縁は続きます。またいつか一緒に挑戦しましょう!
次回の後編は翌日に行われた決勝戦の模様をお伝えします!
…と、ここで終わるべきなのですが、ちょっと個人的に思ったことを記しておきます。もう長くなってるので読み飛ばしていただいてOKです。
井上新五郎正隆さんという落語作家の方がいらっしゃいます。その方が著書で「作家は当て書きをするべきだ」と述べておられました。それが落語家に対するリスペクトの姿勢であると。何ならそれが故人でも良い、落語家さんに対して「あなたを思って書きました」という気持ちが大事であると。
私はこの言葉に深く納得する反面、「地方在住でプロアマ問わず噺家と繋がりが一切ない自分にはとても無理である」という感情も抱いていました。とにかく自分一人きりで台本をたくさん書いて、賞をとってプロに口演していただくか、あるいはnoteにたくさんUPして、その中で気に入ったものを誰かに見つけて頂くしかなかろう…と考えていたのです。
しかし今回、池田の大会に参加してみて、考えを改めました。ネットで知り合って私の台本を選んでくださったこいのすけさんは私の想像を超える個性的なキャラクターを持っておられたし、たくさんは聴けませんでしたが他の出場者の方々も多士済々、百花繚乱、様々な個性が一席入魂で演じておられる。
一人として同じ演者はいない。
「同じような台本」はたくさんあるかもしれませんが、「同じような人間」っていないんですよね。ならば、その人なりの良さや強みを活かす台本は必ず需要があるだろうし、何より「(当て書きで)書いてみたい」と私自身が強く思えました。井上新五郎さんの書いておられたことが本当の意味でようやくわかってきた気がします。
やはり落語に惚れると同時に、落語を演じる人に惚れる、これが大事なのですね。今まではコミュ力が低いことから逃げるために「独りで書かねばならない」と思ってきた面がありますが、これからは苦手なりに、自ら繋がりも求めて行かねばと思った次第です。より深く、様々な人に「惚れる」ために。
なので、アマチュア落語家の方にお願いなのですが、今後、終演後のお見送りなどで変な台本書きが話しかけてきても、なるべく仲良くしてやって頂ければと思います(^_^;) よろしくお願いします。