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小説-「今夜あなたは、どんな夜を過ごしますか」
前前夜からの続きです
小説-「今夜あなたは、どんな夜を過ごしますか」
file17 田口浩之の夜
「ただいま〜。」
「おかえり〜。ご飯出来てるわよ〜。」
「うん。ちょっと着替えてくるよ。」
いつもの様に仕事から帰ると母がご飯の用意をしてくれている。今日は仕事が休みだったのかな。メインは肉じゃがのようだ。子供の頃は頻繁に出てきて少し苦手だと思っていたけど、少し前から、牛肉をニンニクで炒めてから煮込んでくれるようになって、喜んで食べるようになった。
肉じゃが、きんぴらごぼう、ワカメとお豆腐とタマネギのお味噌汁、ほうれん草のおひたし。うん。体にとても良さそうだ。とても美味い。
「とても美味しいよ。」
「そう!?ありがと。」
佳菜子ちゃんに映画を断られてから、振られたみたいで数日落ちこんでいた。けれど、よくよく考えてみると、彼氏は既にいたのだから仕方がない。順番が遅かっただけだ。たまたま、本屋で偶然出会ったから運命のように感じてしまっただけだ。彼氏がいるからとはっきり言ってくれるような女性を好きになった事に、自信を持ってもいいかもしれない。今時、インスタやユーチューブやネットを検索すると、モテ方等、一杯出てくる。マッチングアプリもいいな。少し研究してみようかな。
うん。なんだか、元気が出できた。
今日はハッピーな音楽でも聴いて寝よう。
続く。