組織の変容を考えた時、それはカルチャーを生み出す事と力学(システム)を変えるという2つのアプローチが存在するよ。というお話
個人の変容と社会の変容について書いてきたので、そろそろ組織の変容についても書いておこうと思います。
私の考えとしては、個人の変容がスタートした後の段階で組織の変容に着手すべきだと考えています。なぜなら、組織はあなた自身であり・あなたは組織自身であるからです。両者は分離できないものであり、答えは自分の外から与えられるものではないから。
組織(会社・コミュニティ)の変容を説明する前に、ケン・ウィルバーの4象限の話が分かりやすいのでこちらから全体像に迫りたいと思います。
対象を内側から見るか?外側から見るか?と、個を見るか?集団を見るか?の4象限で分けて考えていきます(図解参照)
4象限の左上、個を内側から見ると「信念」や「マインドセット」領域。これは個人の変容と密接に絡んでいます。
4象限の右上、個を外側から見ると「態度」である。美しい姿勢や言葉遣いが人格を形作っていくという領域ですね。これも個人の変容。
個人の変容については、禅というカタチで古来からありました。禅で言うと、脳に直接アプローチする方法と、身体性からのアプローチの2つがあると言われてきました。見事にこの4象限の上2つと合致しますね。
脳にアプローチすると信念やマインドセット。身体性からアプローチすると態度(ここは解釈の誤差がありますが広義で捉えてください)
今日のお題である組織の変容は、下側2つ、左下と右下の領域です。
集団を内側からドライブする「カルチャー」と
集団を外側からガイドする「システム」や「プロセス」と2種類あるよね。という前提。
カルチャーとは何か?
カルチャーは組織風土とも呼ばれます。
明文化されていないんだけれども、なんとなくみんなが大切にしているものです。
分かりやすいのは趣味のサークルとかですかね?
ツーリングサークル・プロスポーツのファン・特定のアーティストのファン・漫画の同好会など……。
これを組織に持ち込んで変容につながり、結果的に進化型組織へとつながっていくイメージ。パタゴニアなどはカルチャーを大事にしていますよね。
サーフィンが好きな人同士で集まって会社を作ったら、明文化しなくても海岸のゴミ拾いに敏感になる。環境問題を話し合う事は義務ではなく、自らの欲求として表出化する。与えられたお題目のような経営理念ではなく、カルチャーとして大事にする事が共有できている。
カルチャーから組織をデザインする。という観点で組織の変容を捉える。一考の価値ありです。
システムやプロセスとは何か?
システムやプロセスは、その組織内を巡る情報の通り道を設計する事です。日本庭園に置き石があれば、人は自然とそこを歩きます。
そこを歩く事に、やらされている感を感じる人はいないでしょう。それがデザインの効能です。
例えば、すべての業務連絡をオープンコミュニケーションで行う。slackを使って、情報をフルオープンにする。すると、業務連絡はslack上で完結するのでセクショナリズムは発生しづらい。
予算・情報・決定権、という組織内で権力の偏在を引き起こす3要素があります。これらをすべてオープンにする。そして、それらの取扱説明書もslackに載せておく。
例えば、事務所で掃除機が壊れてしまった。こんな時にどうするか?
slackに #備品購入 のようなチャンネルを作成しておきます。そのチャンネル内に「30万円未満の購入の場合はコチラ」「30万円以上の購入の場合はコチラ」などという具合に、実践的アプローチのマニュアルを置いておきます。(当然、マニュアルは仮置で実務に合うように変更をかけていきます)
「30万円未満の場合」買い換える必要があると気付いた人がslackに投稿する。slackに投稿した日から24時間以内にアドバイスをください。24時間後には○○(新たに購入する備品)を○○電機で買おうと思っています。←投稿テンプレート
「30万円以上の場合」slackの予算情報ページを参照のうえ、予実管理表を訂正した上で、「30万円未満の場合」と同じアプローチをする。
このようなカタチで実践的アプローチマニュアルを作成するのです。
これがシステムやプロセスです。システムやプロセスを変えれば、人は自分で判断がしやすくなる。
私は、人が自主的に判断できないのは情報が不足しているだけだ。とよく言っています。
例えば、あなたが日本国のすべての租税の税率を決めてください!と言われても躊躇いますよね?即断即決はできませんよね?
そのように情報不足で動けないスタッフを見て、なぜか経営陣は怒り出す笑
決断しろ!動け!やってみろ!みたいな根性論を振りかざす。
経営陣と現場のスタッフでは取り扱っている情報が異なるので、この根性論は何も生まないな〜と思います。
まずはシステムをRe designして情報を公開する事から始めてみませんか?
はい、という訳で
組織の変容のお話でした。
以前にも伝えていますが、まずは個人の変容です。
その後、組織も時代に合わせて変容させていきましょう!