非営利としてのOpenAIからの脱却
OpenAIとMicrosoftの間で交わされたパートナーシップ契約には、重要な条項として「OpenAIが汎用人工知能(Artificial General Intelligence, AGI)を開発した場合、Microsoftがその技術へのアクセスを失う可能性がある」という内容が含まれている。この条項は、AGIがもたらす影響力を慎重に管理するために設けられたものである。
AGIは、人間のように幅広い知性を持つ技術であり、その実現は社会や産業に革命的な変化をもたらすとされる。OpenAIはAGIの開発に際して、技術の影響力と倫理的責任を重視している。この契約条項により、MicrosoftがAGIを独占的に利用する状況を防ぎ、AGIの適切な制御を確保する意図が明確に示されている。
Microsoftは、OpenAIの技術を活用してAzureクラウドプラットフォーム上で商業的利益を上げているが、この条項の存在は長期的な戦略において重要な意味を持つ。AGIが開発された場合、Microsoftがその技術に直接アクセスできなくなる可能性があるため、将来的な協力関係の形が変わる可能性がある。
この条項は、AGIの潜在的な影響力を考慮し、責任を持って制御するための具体的な施策である。同時に、技術的進展とその管理における課題を象徴している。このような取り決めは、技術の進化が引き起こす社会的責任の在り方について再考を促す重要な事例だ。
しかし、最近の報道によると、OpenAIはこの条項の撤廃を検討しており、Microsoftとの提携関係を強化する方向に動いているようだ。これは、将来的な資金調達や計算資源の確保を見据えた戦略的な判断とされる。OpenAIが営利企業への転換にあたり、次世代のChatGPT5の開発により多くの資金を必要としており、前述の非営利組織としてのOpenAIの理念はなかったことにされる可能性がある。