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Christmas for you(短編)

※Rita Coolige(原曲のボズ・スキャッグズではない) We're all alone聴きながら読むことを推奨

クリスマスに恋人との予定を入れない、それでいいの。
そもそも宗教からきている行事なのに、それと関係ない人たちがクリスマスでワイワイするなんておかしい。彼らはクリスマス商戦に乗っかってるだけ。

でもそうやって記念日に世間が仕立て上げたことで、お互いが何かをするきっかけの口実になった。「クリスマスだから」の一言で、やりとりのハードルを下げることができる。魔訶不思議な現象ね。

「君に渡したいものがあるんだ」

思ったそばから、彼が切り出してきたわ。

「何?いつも渋るくせに、珍しいじゃない」
「君の口角がこれぐらい上がるものを用意したさ」
「それは見物ね」

彼がリュックからリボンのついた小さな箱をもって渡してきたの。

「ほら」
「今ここで開けなくてもいいわよね」
「そう強がるなって」
「人通り多いから、後で開けるわ」

若いカップルも多くなってきたこの通りで開けるわけないでしょ。もう。
「あっという間だったな今年も」
「それにあっけなかった」
「そのあっけなさ、あとで吹き飛ばしてやるから」
「へぇー」
「楽しみにしてて」

バカ言っちゃって。あとで、裏切んないでよね。



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