メール　｜詩

君とメアドを交換した
学校で「メール」が流行っていたから
ポケベルよりも長い文章を打てるのが画期的だった
いつも静かな君は
文字の世界では
とても元気で
みんなが知らない君を見られたみたいで
すごく嬉しかった

君とメアドを交換した
学校で「メール」が定番になっていたから
電話をしなくても要件を相手に伝えられるのが画期的だった
いつも大人しい君は
画面越しの世界では
とてもおしゃべりで
みんなが知らない君に触れられたみたいで
すごく嬉しかった

僕から送って
君が返して
お風呂に入って
日付が変わって
まだかな
いつかな
そわそわして
何度も開いた問い合わせ画面

君から届いて
僕が返して
寝転がって
夜が更けて
寝たかな
明日かな
そわそわして
何度も押した問い合わせボタン

僕にとっての君みたいに
君にとっての僕も
大切だったらいいな

僕にとっての君みたいに
君にとっての僕も
特別だったらいいな

君とメアドを交換した
学校で「メール」はもう古いけど
君と僕の世界を
君と僕だけの世界を
もう少し
もう少しだけ
このままで