鑑賞録 #28 「ハズビン・ホテルへようこそ シーズン1 第5話:Dad Beat Dad」
ブリッツといいストラスといいルシファーといいちょっとぶっ飛び気味な父親が娘を溺愛する描写が多くて楽しい。
Vivの父娘関係がそうだったのかそういう父娘関係が性癖なのかは知るところにないが、好きな相手を依怙贔屓して平静を保てない様というのは第三者として見ている分にはすごくいい。
他者に対して興味のなさそうなキャラクターが特定の何かに異常に執着している様はNever get oldである。
そして今回のミュージカルその1「Hell's Greatest Dad」
場面の移り変わりやルシファーの魔法の豪華さ・芸達者さも相まってジーニーのFriend Like Meみたいな楽しさのある曲だ。
余談だが、アニメでジーニーの声を演じているのはロビン・ウィリアムズ。ミセス・ダウトファイアを演じた超有名俳優である。
Hellaverseではなんとなくアラジンに関連する要素が度々見受けられるように感じる。ストラス父&ブリッツ父の声や、オズ/ゼスティアル/ヴォルテックスの声もそうだし。
さて、「Hell's Greatest Dad」も本作中TOP3に入る好きな曲だが、モーニングスター家の機能不全っぷりが現れているようでもあった。
ルシファーとアラスターが交互に歌っていく形になっているが、ルシファーなりに娘の力になろうとプレゼンしている間のチャーリーは無表情か困り顔なのに、アラスターのターンになってすぐ笑顔を見せ歌唱にも合いの手として参加し始める。
父のルシファーのことはもちろん好きだしなんでもできる力があるのはすごいけど「私がしてほしいのってそういうことじゃなくて……」という感じ。
対してアラスターは実際に彼女のプロジェクトに協力してきた実績があり、現場にもいて、まさに「遠くの親類より近くの他人」状態だ。家族という点を除いた時、間違いなくアラスターとの絆の方が強いだろう。
ルシファー自身、気分の上がり下がりが激しく不安定なようだし、彼のメンタルヘルスケアの方が喫緊の課題なんじゃないだろうか。
ハスクが言っていたとおり "Princess, is a bleeding heart who wants to solve everybody else's problems 'cept her own." なのだから、いずれにせよExterminationより先に自分たちの問題をどうにかした方がいいと思う。
ルシファーはとんでもない毒親×6(正確な数は不明)みたいな環境で育って散々否定され続けた上に捨てられたようなものだから、情緒の不安定さや他者に対する不信感が根深くない方がおかしいくらいだ。
リリスがどんなキャラクターなのかはまだほとんど描写されていないから、彼女がルシファーの救いになっていたのかそれとも天界の生まれらしく独善的・支配的にルシファーを苦しめることがあったのかは分からないけど、ここまでルシファーが不憫だと個人的にはリリスがルシファーだいしゅき♡くらいじゃないとしんどくなる気がしてしまう。
でもウーマン・リブの象徴にされているような「リリス」だから、男性に夢中になって好き好き言うような色ボケしたキャラにされるわけがないか。逆張りでそうなってたら面白いけど。
リリスの自律性はアダムのカウンター・パートでもあるわけだから、ルシファーに対してはデレデレでもいいと思うんだよね。だめかな?