鑑賞録 #6 「ヘルヴァ・ボス シーズン1 第1話:MURDER FAMILY」
冒頭に不穏な雰囲気のセリフが流れたあと、ヘルヴァ・ボスやハズビン・ホテルとは似ても似つかないwholesomeな子供向けアニメが始まる。
小学校の教室、素直な子供たちと明るい先生。
いかにも子供向けです、健全ですって感じのビジュアルだとなんでこんなに面白くなさそうに見えちゃうんだろう笑
「さあ今は何月何日の何時かな〜?」みたいな歌を歌っているうちに「今日は先生のhusbandの誕生日だね!」と判明。
("husband"を子供の言葉として訳す場合は何にしたらいいんだろう。子供の頃って「旦那さん」とか「ご主人」とか言わなくないか?〇〇パパとかは言うけど……小学生の私は「旦那さん」なんて言ってたのだろうか。全然思い出せない)
みんなでおめでとうを言おう!ってことで先生の自宅にテレビ電話を繋ぐが、先生の夫は不倫の真っ最中。
ベッドの軋む音はおもちゃみたいでかわいいのに不倫に勤しむ二人のセリフが妙にリアルで下品でほんともうThis is Americaって感じ。知らんけど。
それを見た先生が自宅に直行し不倫相手と夫を惨殺、そして拳銃自殺するが、画面越しとはいえ子供たちが一部始終を見ているのがPTSD案件すぎてやばい。
海外(日本人が「海外」を使う時って概ねアメリカ+場合によってヨーロッパの一部を指すと思いますが、私もそうです)では日本よりもさらに子供を「大切にしよう」「守るべきもの」「かわいいもの」として扱っているように感じるんだけど、大人向けcartoonで残酷な扱いを受けるのはアリなんだろうか。
PILOTでも憎たらしい生意気な子供に対してとはいえとんでもない描写が入ってたし、あれがギャグになるの怖すぎ〜〜〜〜
私は海外のブラックユーモアをかなり選り好みする(あんまり受け入れられない)価値観だからアメリカの大人向けアニメはそんなに好きではない。
日本の大人向けの過激さとはまた違うよね……
ていうか先生の最期の言葉が
「あなたたちが見ている前で私は何てことを……子供たち、本当にごめんなさい。Don't forget to work on your timestaaaamp….」だったけど、
Don't forget to work on your timestamp.って何。
私の英語力がないせいで先生の最期の言葉の意味が分からなかった。
依頼
先生が今回の依頼人。
不倫相手の女は重傷を負いつつも生き延びていて、世間では「イカれたメンヘラ女の魔の手からサバイブしたヒーロー」として名を馳せ、その知名度を活かして稼ぎまくり賞賛されまくり。
先生が教えていた子供たちまで彼女のことを「あなたはヒーローだ〜〜!!」と超ウェルカムな感じで迎え入れ、教室の黒板には「トラウマに対処する方法 101」と書いてありメソッドまで作って商売にしている。
今際の際まで気にかけていた子供たちにさえ無邪気に不義理されている先生が不憫でならない。
ブリッツが「あの女はヒーローじゃねえええ〜〜〜〜!!!!!」と怒り狂う先生を宥めつつデスク下のボタンを連打しているが、ラインナップがひどい。
しかしよく見ると「コーヒーのおかわり」「漏らした」「変態客」「キチ○イ客」等々と並んで「ストラス」の文字が……ストラス、よかったね……
愛しのBlitzyに頼られてるよ……😭
……いや、これは「ストラスがやべーからレスキューミー」を想定してるパターンか?頼られてるんじゃなくて警戒対象なのか?
MORE COFFEEの意味のSTOLASなのか
HORNY CLIENTの意味のSTOLASなのか
あるいはその両方か……
ストラス……
この後は依頼を受けたブリッツたちが人間界へ赴き例の不倫女(とその家族)を暗殺しようと奮闘する展開になるが、もはや私はストラスおよび彼の赤ちゃん言葉(というか例の口調)+18禁ワード連発シーンを観るために本作を観ているようなものなので、依頼の進行状況とか本当にどうでもいい😂
ストラスが愛情たっぷりに言う "My little imp." の発音がキュートすぎて全然真似できない。
しかしこの暗殺対象の家族、のちに超やべー奴らだったと分かるのだが、寝室の壁紙が骨盤の骨の柄だったり、額縁やランプのスタンドが骨で作られていたり、あらゆるところに武器が置かれていたり、ハンティング・トロフィーが人の顔になっていたり、4人家族なのに食卓には5人分の食事が用意されて、末席が車椅子+上に壺(花瓶?)が置かれていたりとアブノーマルさを隠す様子もない。
動物のパーツを加工して活用するというのは普通に行われていることだからそんなに警戒することじゃないかもしれないし、日本刀を床の間に飾ることに違和感がないのだから世界的に銃や刃物を飾る文化があるのだろうが、小さな子供が二人もいる一般家庭でそこらじゅうに剥き出しの刃物が置いてあるというのはとんでもなく不自然だ。
ていうかそんなことより5人分の食事と車椅子と壺!
なにそれ!!どういう意味なの!!!!
追記:
この食卓の様子は「悪魔のいけにえ」のオマージュではないか、という説を見た。
人の骨や皮で作られたインテリアがそこかしこに配置されているという点も同じだ。
映画内では車椅子を使う人物も登場するらしいが、本編を観たことがないので車椅子と壺?花瓶?の謎は解けないまま。しかし骨盤の骨柄の壁紙には合点がいった。
そして不倫女のみならず夫もDERANGED、そして大人たちだけでなく子供たちもDERANGEDであり、どうやら人を殺してその皮膚や骨でなんか色々作ってたというバッファロー・ビル(あるいはエド・ゲイン)並みの所業が明らかになる。
ブリッツたちは絶体絶命の危機に陥りつつ最終的には依頼をやり遂げ、先生も笑顔を取り戻してめでたしめでたし。
悪魔になってからの先生のキャラクターが地味に好き。
今回もストラスはブリッツに邪険にされ永久に放置されていたが、この頃のストラスはまだコメディリリーフ的な役割があるので全然可哀想にならない。
できればずっとそんな感じのキャラでいてほしかった。