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鑑賞録 #18 「ヘルヴァ・ボス シーズン2 第5話:UNHAPPY CAMPERS」
任務遂行の過程でギャルモクシーとイケメンミリーがティーン・ライフに入れ込み思春期のような葛藤とすれ違いを経て最終的にブリッツの双子の妹(姉?)と鉢合わせブリッツ家族の不和が垣間見られる話。
いわゆるValley girlやパリス・ヒルトンの気怠げで軽そうに見える振る舞いが大好きなので、ステレオタイプなギャルを気取るモクシーは同じような意味ですごく好き。
余談
パリスとキム・カーダシアンはVocal Fryをはじめ似たような話し方をするが、アメリカ女性っぽい声の低さがあるキムと比べてパリスはハキハキ喋ったり力強い声を出したりしないのですっごく軽そうに見える。
それが可愛い。
この動画に映るパリス以外の誰のことも知らないが、バカみたいに軽薄でバカみたいに金のかかってそうなパーティー、本当に楽しそうだ。
極め付けの "I pray this food is hot. Amen." 、さすがパリスである。
Netflixで観られる本編はもっとひど……面白く、日本で日本人が同じことをやったら年配の方から真面目にキレられそうなのだが、パリスに関してはキレた方が負けだ。
自分のパートナーや子供たちがパリスみたいなことをし始めたら真剣に窘めるとしても、人生を楽しく生きるためには彼女の言動をエンタメとして捉える方が合理的である。
おもしろすぎる。
髪も邪魔そうだし手袋もよく分からないし(つけてる理由を言ってるけど私の感覚では不衛生なので絶対に外してほしい)、不器用で不慣れでよく分からない動きをするパリス。
全く関係のない遠〜いところから傍観しているだけなら大変面白いが、これを我が家のキッチンでやられたらストレス過多で倒れるかも。
私はパリスを観ていると、実はパリスってめちゃくちゃインテリでめちゃくちゃしっかりした人で、このラザニアの動画も
「あ〜その案、いい具合にパリスっぽいかもしんないっすね。んで、撮影中どっかのタイミングで塩をばら撒くのと、非効率そうな器具をチョイスするのと、常に物を雑に扱うのと、あと絶対にシンク周りはmessな状態をキープって感じでやっちゃってください」
「That's hot.」
と打ち合わせした上で戦略的にパリスという人格をやってるんじゃないかと思ってしまう。(そんなことなさそうだけど)
本編
ティーンごっこをするM&Mと必死にBarbを探すブリッツが交互に描かれ、終盤、依頼された暗殺対象と女性が一緒にいるところをブリッツとモクシーが発見する。
この女性というのが他ならぬバービー(ブリッツの双子)で、人間に変身している。ブリッツはできないのに。
なぜかことごとく昔馴染みに嫌われているブリッツ。
案の定バービーにも嫌われているのだが、ヴェロシカやフィズに対する態度と違って下手に出た振る舞いもする。
のちのエピソードで「おそらくこれが理由かも」という描写があるが、だとしたらブリッツの背負っている十字架は重すぎるし、フィズやバービーがブリッツを嫌うのも十分に理解できてしまう。
"I want to help you- Let me help you. Please?"
"Let's… grab dinner, we'll catch up, and we'll talk about-"
「力になりたいんだ、たのむよ。夕飯でも食べて、近況報告しあって、それであの話を……」
の「夕飯でも食べて(grab dinner)」のところで顔色を変えるバービー。
You don't fucking GET IT!
Just cause I'm outta rehab doesn't mean I wanna see you.
I NEVER wanna see you, EVER!
わかるぅぅ〜!わかるよバービー〜〜!!
バービーがブリッツを突き放したいことを理解できるという意味ではなくて、「顔も見たくないと思っている相手が一方的に気遣ってしつこくしてきた上に"飯でも"とか行ってきた時」のしんどい感じに共感した。
特殊な一人や二人ではない。
1回連絡を無視されるくらいなら「見たけど返信するの忘れてた」が全然あり得るけど、複数回無視されてもまったく察さない人がたくさんいる。
数打ちゃ当たると思って適当にやってるのだろうが、受け取る側からすれば異常者の振る舞いだ。
私が経験してきたのはブリッツの不器用な家族愛のような性質とは全く違うし気持ち悪さも全然違うが、鬱陶しさや意思疎通ができてない感じは一緒だと思う。
でも、ブリッツの切な顔ってかわいいよね。(性癖)
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ブリッツが "Let's… grab dinner" と口にするまでのバービーはブリッツと鉢合わせたことこそ歓迎していないが、ヴェロシカと同じで「憎まれ口の叩き合いはするけど心底嫌ってる感じではない」ような対応だ。
次話で登場するフィズも大体そんな感じで、態度は悪いが発言に耳を貸すので会話は成り立っているし、会話をする気もある。
仲良しこよしはしないけど排除もしない。
シナリオの都合とかを考慮せずに見ればだけど、ヴェロシカが本当にブリッツを憎んでたらわざわざブリッツが契約してる駐車場を乗っ取って接点を作ったりしないと思うんだよね。
困らせて、怒らせて、恥をかくように仕向けたりやり込めようとはするけど、関わること自体を避けてないんだもん。
バービーも初めは「頼むからほっといてよ」「なんで分からないの!?」って感じで、過干渉で子離れできない親に悩む子供みたい。
めちゃくちゃ鬱陶しいは鬱陶しいんだろうけど「嫌悪感1000%」とかではなく、「なんか色々やってくれようとしてるけど1ミリも求めてないしマジで迷惑」という拒否感の怒りに感じる。
過干渉で過保護な肉親がいる人なら彼女の気持ちはよく分かるんじゃなかろうか。そしてブリッツはそんなバービーに対して悪手ばかり打っている。
せっかくブリッツから距離を置いて立ち直ろうと努力しているバービーに粘着し、人間界まで追ってきた挙句、利益相反だったとはいえ結果的に仕事を失わせているし(治安的にはいいことかもしれないが)、「マジで話にならない上に立ち直ることさえ妨害してくる最悪な兄弟」の振る舞いだ。
バービーは「世の中の不幸を全部身に受けて惨めに野垂れ死ねとは思わないけど遠く離れたところで勝手に生きてて」って感じだったのに、ブリッツはラインを超えて踏み込んじゃうから嫌われるんだろうな……
一見「家族愛でバービーのことを思って行動したが拒絶された」みたいな感じだけど、家族の絆を取り戻したい、話がしたい、できれば許されたい、みたいなブリッツの「自分の気持ち」が先行しすぎてて、バービーがなぜ音信不通で距離を置いているのかを考慮してない。
インプの平均寿命がどれくらいあるのか知らないけど、せめてもう10年くらいは待ってやれないもんかねブリッツ?
ブリッツのコンプレックス
ブリッツって過去仲良かった人がほとんど「自分より明確に優秀な点がある」っぽくて、小さい頃からずっと劣等感を味わい続けてきたのかもしれない。
双子のバービーは2x1で足のない馬しか作れなかったブリッツと違って観客にウケていたし、人間に変身できる。でも自分にはできない。
親友のフィズは大人気で芸も上手だけど、一緒にステージに出ている自分は失敗するし人気もない。
彼女のヴェロシカは超有名ポップスターだけど、自分はパフォーマーを辞めてしまったし大した稼ぎもない。
2x1に出てきた小さいブリッツは拙いながらもステージをすごく楽しんでいたし、サーカス自体に強い憧れと夢を持っていた。
しかしなんらかの理由でエンタメで成功する道を諦め、今度は「人間を暗殺して稼ぐ」仕事を始めるが、その仕事も「ストラスの魔導書」なしには成り立たない。
1x6の幻覚モクシーには「頭の悪い愚か者」扱いされ、幻覚フィズには「一人じゃ何もできない」と言われ……
幻覚で出てくるということはブリッツが自分に思っていることなわけだから、つまり能力に関してもコンプレックスを持っている。
(1x6感想の繰り返しを延々書きそうなのでリンクを貼ります)
2x2のシットコムのシーンからも分かる通り、本当は「誰かを楽しませる」ことがしたかったはずなのに……今後詳細が語られていくのだろうけど、ブリッツがやたら切なすぎる。
おわり
バービーは見た目も可愛いし声もハスキーですごく好みだ。
私はステラやバービーのようなハスキーボイスで気が強くはっきりものを言う女性キャラがすきなのかも……
ちなみに呪術廻戦では冥冥、攻殻機動隊では少佐とサイトーとタチコマ、進撃の巨人ではフロック、葬送のフリーレンではフランメ、SPYxFAMILYではハンドラー、名探偵コナンでは鈴木園子、ワンピースではハンコック、ACCAではモーヴ本部長が好きである。
三石琴乃さんと田中敦子さんが好きなだけかもしれない。