『劇場版 必着届け人YAMATO』ノベライズ
《今夜9時、港湾倉庫に来い。
間に合わなければ決闘の資格なし、そちらの負けとする。》
「10分過ぎてンじゃねえかッ」
「ギャーッ!」
突然薄っぺらい尻を蹴り上げられたタダシは情けない悲鳴をあげた。
なんて恐ろしい街だ、路地を一本間違えただけでこんな伝言役を押しつけられるなんて。
ヤクザなのかギャングなのか、手紙を一読した大柄な男は内容と現在時刻にブチギレだ。中身も知らずざっくりとした道順だけ教えられ、震えながらアジトに辿り着いたものの既に手遅れだったらしい。
男は力強い息を吐き、首をゴキリと鳴らしてしゃあねえなとぼやく。
「なんにせよこのヘナチョコ果たし状は受取人不在、無効」
行くぜ野郎ども、港湾倉庫にブッコむぞ、と宣言するとアジト内の男たちが口々に応と叫ぶ。か弱いタダシの耳はその威勢にちぎれそうだ。
「あのでは僕はこれで」
「てめェも来い遅刻野郎」
「ギャーッ!?」
「敗北の届け方、黒陛虎夜魔斗が教えてやるッ!」
【続く】