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拝啓、浪速の轟砲

久しぶりに長文を書こうと思い立ってテーマを考えた時、何よりも最初に書きたいと思えたのはやっぱり彼についてだった。

思えば彼を初めて見たのはおよそ15年前。
当たれば飛ぶを体現したような低打率とHR数。
20歳そこそことは思えない体躯の良さから京セラやほっともっとのライトスタンドに突き刺す打球に心が躍った。

翌年彼は覚醒する。
どんでんに言われるままに改名した「T-岡田」。
まさかこんなに長く使い続けるとは思いもしなかった名前。
22歳の若さでHR王。ロマンが溢れ過ぎていた。
特徴的なノーステップ打法も、体育のソフトボールで真似したくなるくらい大好きになった。
現地で彼を観たのもこの時が初めて。
マリーンズサポーターとして観た彼は脅威であり、憧れだった。

そこから一気にスター街道!…なんて思い通りにいかない。
統一球に怪我に不振。活躍した期間よりももがいて苦しんでいる時の方が長く感じた。

それでも忘れられない2014年。
144試合を駆け抜けてのゲーム差無しの2位。
運命の10.2。
サヨナラを決めた松田よりも、打たれた比嘉ー伊藤光のバッテリーよりも、僕の目に焼き付いて離れないのは、ベンチでうなだれるTと安達の姿だった

こんなところで終われないと、CSで魅せた逆転スリーラン。
あの年のTは間違いなく主砲でリーダーだった。

その後の長いチーム低迷。
31本打っても4位。
福良さんも小谷野もいなくなり、安達は病との闘いに。
彼も不振や怪我でなかなかフルで試合に出られない。

そんなどん底からのリーグ3連覇。
そして26年ぶりの日本一。
若手中堅よりも中嶋監督含む首脳陣よりも、あなたと安達の喜ぶ姿が何よりも嬉しかった。

もう全盛期の力はないかもしれない。
それでも去年の日本シリーズで、京セラドーム中に響き渡ったあなたの応援歌の圧倒的な声量を僕は忘れない。

あなたに心惹かれ、バファローズという球団に魅せられて、日本一に涙した僕が今一番望むのは、1年でも長くあなたの試合を観ること。

まだまだ辞めないでほしい。
別れのときは間違いなく近づき、今年もシーズンが始まる。
ただ来年も、あなたの打席での姿を、響き渡る応援歌を、この目に、この耳に焼き付けたい。

何よりも、あなたの放つ世界で一番美しいホームランをもう一度観てみたいから。

頑張れ浪速の轟砲
頑張れT-岡田

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