巨人 : 特撮への入り口になったウルトラマンティガについて

皆さんこんばんは。翔平です。
今回はタイトル通り読売ジャイアンツの…といきたいところですが少し野球から離れたお話をしようと思います。

ここまでの投稿でご存じの通り、僕はプロ野球が大好きなんですが、そんな大好きなプロ野球に並び立つくらい大好きなのが特撮です。仮面ライダーウルトラマンスーパー戦隊メタルヒーローシリーズ等々…昔も今でも、彼らは僕の永遠のヒーローです。

そんな特撮大好きな僕が、特撮に初めて触れたのが3歳の頃。きっかけになった最初の作品こそが今日紹介したいタイトル。巨人は巨人でも光の巨人ウルトラマンティガです。

それまで1980年にテレビ放送されてから16年もの間放送のなかったウルトラマンシリーズ。その沈黙を破って平成最初のウルトラマンとして放送されたのがティガでした。今までのウルトラシリーズになかった革新的なアイデアを次々と繰り出して大ヒットしたティガ。数多くのヒーローを今まで見てきましたが、「一番好きな特撮は?」と聞かれたら迷わず「ウルトラマンティガ」と答えるほどに僕はティガが大好きなんです。

ただティガ自体があまりにも有名なので今更紹介しなくても…と思われそうですが、思い入れの強く有名過ぎる作品だからこそ、今回はあえてそんな有名なティガのここがスゴい、ここを見てほしいというポイントを紹介したいと思います。知っている方も知らない方も是非読んでいただけたらと思います。

そもそもウルトラマンティガとは?

ウルトラマンティガは1996年から1997年にかけての1年間放送された平成ウルトラマン第1号となる作品です。主演はV6長野博さんで、ジャニーズ初の特撮ヒーローになります。平成が始まって以降、特撮番組自体はあったんですが、そこまで跳ねるほど人気になるような作品はありませんでした。そんな中で1980年以来16年ぶり初代ウルトラマン誕生からちょうど30年の節目の年にテレビシリーズのウルトラマンとして放送されたのがティガでした。16年前のウルトラマン80を見ていた子供たちが成長して親世代となり、子供だけでなく当時の視聴者である親世代も一緒に楽しめる作品を目指して大人向けにも対応できるように作られており、成長した今見返してみると「こんな深い話だったんだ」と改めて考察することもできる非常に作り込まれた作品であります。放送終了後も高い人気をもっていて、テレビ放送終了から3年後に完結編となる映画が公開(もちろん観に行きました!)、その後も多くの作品で客演し、メディアアンケートによる好きなウルトラマンランキングでは堂々のトップとなっています。そんなティガの異色さ、特筆すべき点などを紹介していきます。

特徴その1 : タイプチェンジ

ティガを語る上で外せないのが、何といっても特撮に革命を起こした特徴「タイプチェンジ」です。それまでの特撮では仮面ライダーにおいて一部「パワーアップ」という形で物語途中に再改造やあるきっかけで形態が変わることはありましたが、基本能力としてタイプチェンジが盛り込まれたのはティガが初めてになります。タイプチェンジなので、基本形態に比べて何かしらの能力が特化及び劣化することになります。基本形態であるマルチタイプは体色がレッドとパープルの非常に美しいカラーリングで、パワー、スピード共にバランスの取れた形態です。必殺技のゼペリオン光線はティガの技の中で最強の技で、数多くの怪獣を葬っていきました。全身が赤一色に包まれたパワータイプは、名前の通り力に特化した形態です。マルチタイプでは力負けしてしまう相手に対しても自慢のパワーを見せつけて倒してきました。ただパワーに特化したためにスピードは落ちてしまっています。必殺技は火球を投げつけるデラシウム光流です。スカイタイプは逆にスピードに特化した形態で、パープル一色の体色が特徴です。速さのある敵にはこのフォルムで対応しました。スピード特化のために、パワー面はやや力不足となっています。必殺技はビームショットを飛ばすランバルト光弾です。この3つの形態を巧みに使って、ティガは数々の難敵を倒していきました。

特徴その2 : 主人公とGUTS

次の特徴としましては、主人公と所属する特殊部隊の描き方です。それまでの特撮では基本的に主人公目線からの隊長やその他の隊員たちとの関わり合いを描くのが普通でしたが、ことティガにおいては少し毛色が変わってきました。主人公を務めた長野博さんは当時圧倒的な人気を誇ったV6のメンバーということもあり、1年にも及ぶウルトラマンの主役を務めるには非常に厳しいほどにスケジュールが詰まっていました。そんな長野さんを出番の少ない主役として殺してしまうのではなく、所属部隊であるGUTSのメンバーをエピソードのメインに据えてそこに主役のダイゴが関わっていくスタイルを取ることで、タイトな日程をうまく乗り切っていました。結果として主役なのに出番がやや少ない場面もありましたが、それ以外のメンバー、例えばウルトラマン初の女性隊長(これもティガの特徴!)であるイルマ隊長の葛藤、シンジョウ隊員の仲間との友情、レナ隊員の父との確執と和解、ホリイ隊員の結婚など、多角的な視点でGUTSという組織を描いたことで、戦うだけではない非常に深みのある集団に仕上がりました。この手法は後世のウルトラマンにも受け継がれています。

特徴その3 : ウルトラマン自身に意思がない

これ実はかなり革新的な発想なんです。それまでのウルトラマンはM78星雲出身の宇宙人地球人と一体化して戦う、または地球人の姿を借りて戦うといった形だったので、ウルトラマンにはウルトラマンの意思がありました。しかしティガは、過去に地球を救った光の巨人が肉体を地球に残して宇宙に旅立っていて、その残された巨人像に、光の巨人の遺伝子を受け継いでいた(本人は全く知りませんでした)主人公のダイゴが光となって降り注ぎ、巨人が復活する…という過程でティガが誕生したので、ウルトラマンティガの意思=ダイゴ自身の意思ということになります。純粋な地球人がウルトラマンそのものになるという初めての試みだったのです。自身がある日突然光の巨人となってしまったダイゴは、自分は光として生きるべきなのか人として生きるべきなのか、深く深く、最終回まで葛藤し続けます。ウルトラマンティガという作品は、ダイゴ自身が、戦いや周りの人たちとの関わりを通じて、自分の存在や生き方を探っていくディープな作品なのです。

特徴その4 : 個性豊かな怪獣たち

ティガの主な敵となるのは、先代のティガが戦っていた3000万年前の超古代の怪獣の生き残りです。長い眠りから覚めた超古代の怪獣は、クトゥルフ神話に因んだ名前や見た目をしています。特にラスボスとなるガタノゾーア(画像)は、全世界を物理攻撃を寄せつけない殺傷能力のある「闇」で覆い尽くし、幾多の戦いをくぐり抜けてきたティガ(ダイゴ)を圧倒して元の石像の姿に戻してしまうほど強い、まさに「闇の支配者」です。それ以外にも闇の尖兵ゾイガー、大地を揺るがす怪獣ゴルザ、空を切り裂く怪獣メルバなど、超古代の怪獣たちは難敵ばかりです。もちろんそれだけではなく、侵略宇宙人や地球外生命体など数々の怪獣が登場します。その中には故郷の自然を破壊されて人間に復讐しようとする悲しき怪人オビコ、狩りの標的として地球に放たれ命を奪われた宇宙人ルシア、地下廃棄物の影響でモグラが突然変異してしまったキングモーラットなど、ただただ倒すべき相手とは見られない数奇な運命を辿った怪獣も多く登場します。

特徴その5 : 主人公とヒロインの恋愛

これもティガらしい特徴となる、主人公ダイゴとヒロインのレナ(演じた吉本多香美さんは初代ウルトラマン役の黒部進さんの実の娘さん。本当に綺麗でした…)の1年に渡る恋の行方です。同じ部隊の同志という関係からお互いは意識してるもののなかなかくっつきそうでくっつかないもどかしさを1年かけて描いています。お互いの気持ちを初めて理解して想いを成就させた最終章の戦闘機内での会話は、特撮史に残る名シーンです。このシーンはレナから、「ダイゴがウルトラマンティガである」というずっと周りに秘密にしてきた真実にレナが気づいていた、どうして1人で抱え込むのか、自分も一緒に光になりたいという苦しい胸のうちを明かし、お互いの気持ちがとうとう通じ合うという涙無しには見られない屈指の名シーンです。

ちなみに映画編では、2人の結婚の話や、超古代のティガの恋人だった闇の巨人カミーラとの三角関係などよりドロドロした話も盛り込まれております。

特徴その6 : スーツアクターの使い分け

ある意味ティガの一番の特徴はこのスーツアクターの使い分けかもしれません。タイプチェンジを正式に取り入れたことで、表情の変わらないウルトラマンの能力変化を体色だけでなく体格で表現するため、本来1人で務めるのが一般的な主役スーツアクターを、ティガでは2人が務めました。画像左の細身のティガを務めたのは権藤俊輔さん。逆三角形の美しい細マッチョの肉体美は「権藤ティガ」と呼ばれ伝えられるほどにカッコいいスタイルをしていました。画像右は中村浩二さん。権藤さんとは対照的な鍛え上げられたマッシブな強い肉体で、ティガに力強さを印象付けました。並べてみると結構違いますよね。剛力系フォームのパワータイプは中村さんが、スピード系フォームのスカイタイプは権藤さんが、メインフォルムのマルチタイプは権藤さん中村さん交代で務められました。(やや権藤さんが多いですかね。やっぱり美しいからね…) この2人による役割分担は後継のダイナ、ガイアでも用いられました。

ティガが残したもの

以上のように、様々な試みを行ったウルトラマンティガ。ティガで培われた新しいウルトラマンの「魅せ方」は、後に続いていくウルトラ作品にも多大なる影響を与えています。次作品となるウルトラマンダイナ(主演は皆さんご存じつるの剛士さん!)はティガの直系の後継作で、ティガで用いられたアイデアを踏襲し、さらにGUTSメンバーも客演して戦いに参加するなど継続で見ている視聴者を喜ばせました。続くウルトラマンガイアでは、ティガダイナで培った技術とアイデアをフル活用し、さらに多くの予算を投入して円谷プロの総力を尽くした結果、特撮史にのこる名作となりました。(ただこれが後年の円谷プロの財政難に繋がってしまいますが…) さらにティガ自身もその人気の高さから多くの作品に客演し、最新の好きなウルトラマンランキングでは堂々のトップを飾るなど、放送から20年以上経過した今でもなお多大な影響を特撮界に与えています。

いかがでしたでしょうか?見たことある方も見たことない方も、興味をもっていただけたら、今一度ウルトラマンティガを見てもらえたらなと思います。

それでは…

(スキしてくれると尻尾振って喜びます)

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