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会社が倒産した後、社長の生活はどう変わるのか?経営者の末路。

こんにちは、福井です。

前回から随分と間が空いてしまいましたが、私は元気に明るく生きています!

前の記事を書いたのが2020年10月で、今は2021年3月。

引っ越しをしたり、事業を立ち上げたり、新しい仕事をしたりと忙しく過ごしているうちに、気づけば5ヶ月も経ってしまいました。

会社を清算すると決めたのが2020年の4月末なので、それから間もなく1年が経とうとしていると思うと、この1年間は本当に濃くてあっという間でした。

その振り返りとして、会社をたたむ前後の生活がどう変わったのか書くことにしました。

会社が倒産したら社長の生活はどうなる?

結論から言うと、ほとんど変わっていません。

”ほとんど”というのは、生活レベルは落としましたし、仕事も変わったので、変わったと言えば変わったからです。ただ、何か行動制限がされるわけでもなく、日常生活を送る上では何ら変わりはありません。

とは言え、倒産を経験したことがない人にとっては「そんなことないでしょ?」と思われるのも当然ですよね。

私も倒産を経験するまでは漠然とした不安があり、人から話を聞いても不安はありました。

なので、私のケースをもう少し分解してお伝えしようと思います。

私生活の変化

倒産「前」と「後」では、私生活はどう変わったのか。

会社をたたむ前、拙書『全店舗閉店して会社を清算することにしました。』にも書きましたが、会社の財政面にまだ余裕があるうちに清算したので、たたむ直前まで、私個人はそれなりに余裕のある生活ができていました。

その状態から会社は倒産、突然収入がゼロになったので、生活レベルを一気に落としました。

実際にやったことで言うと、賃貸一戸建てから実家へ引っ越し、車の乗り換え(新車→中古車)、外食の回数を減らす、細かいところで言えばNetflixなどのサブスクの解除もしました。とにかく出費を極限まで抑えました。

とは言っても、ありがちな節約を一通りやった程度です。

倒産直後からすぐに別の仕事を始められますし、新しく会社を作ることも就職をすることも制限されません。

会社が倒産したという理由で極貧生活を強いられることはありませんでした。いわゆる一般的な生活することはできました。

借金の返済

会社の代表者が気になることと言えば残された借金の行方です。

私は会社で9000万円の借り入れをしていて、すべて代表者保証を付けていました。すなわち「会社が倒産する=代表者の私が全額借金を背負う」ことになります。

ちなみに、「倒産して借金が残ったら代表者が返すのは当たり前じゃないか!」と思う方もいるでしょうが、法律上は「会社」と「会社の代表者」は全くの別人格扱いなので、必ずしも「会社の借金=代表者の借金」ではありません。(倒産しても借金を背負わない代表者はいます)

「じゃあ福井は9000万円の借金を背負ったんでしょ。その返済をしているんだよね?大変じゃない?」

という話になりますよね。

その点、「経営者保証に関するガイドライン」を適用して、代表者保証を解除するように進めてきたので、現段階では私個人から借金の返済は一切行っていません。

※詳しくは拙書『全店舗閉店して会社を清算することにしました。』にも書いていますので、仕組みや内容は参考にしていただければと思います。

文字で表現すると非常にドライな感じがしますが、債権者の方々に対して「オレは金は返さねぇし協力しねぇぞ!」という態度ではありませんし、弁護士を通して継続的にコミュニケーションもとり、2021年1月末に債権者集会も開催して債権者の方々に直接説明も行っています。(詳しい内容は本質ではないので割愛します)

ここで伝えたいことは、借金の返済で経済的に苦しい状況ではないということです。経営者保証に関するガイドラインに限らず、自己破産した場合でも借金はなくなるので同じ状況になります。

真っ当な借金であれば、日本にはセーフティネットがありますので借金の返済を過度に恐れる必要はありません。(「返さなくていいの?じゃあ返さないよー!!」という態度はNGです)

人付き合いの変化

人付き合いは変わる部分変わらない部分があります。

会社をたたむ決断をする直前、「周りからどう見られるんだろう」「親しくしてくれた友人・知人も離れてしまうのではないか」そんな不安を抱えていました。ですが、蓋を開けてみたら驚くほど温かく受け入れてくれて、友人知人は以前と変わらぬ付き合いをしてくれています。倒産をきっかけに新しい出会いもありました。

自分で言うのも変ですが、倒産に誠実に向き合ったからだと思います。逃げたり、嘘をついたり、隠したりすると、信用を失い人は去って行くでしょう。

ただ、当然ですが、全員が同じように接してくれたわけではありません。

多少交流があった人からは「借金を踏み倒したって聞いたよ」「誰々がこんな噂をしてたよ」というように、背景を知らず一部だけを切り取って言う人がいるのも事実です。

また、経営者仲間としてつながっていた人とは、住む世界が変わるためどうしても疎遠になってしまいます(向こうは経営者、こちらは無職または起業したばかり)。仲が悪くなったわけではなく、ただ単に住む世界が変わっただけで、これは仕方ない部分です。逆に必ずその世界に戻ってやろう!という気持ちが強くなります。

人付き合いに関しては、変わる部分と変わらない部分があるものの、それが原因でメンタルを病むことはないですし、生きていく上で支障が出るようなことはありませんでした。

倒産しても普通に生きていける

今、とにかく伝えたいのは「倒産しても普通に生きていける」ということです。

日本のセーフティネットは本当に手厚いと思います。そこに頼ってもいいじゃないですか。そのためにこれまで納税してきましたし、税金はそのように使われるものです。

この辺の考え方は、すらたろうさんのツイートが参考になるので貼っておきます。

どうか見栄やプライドで間違った選択をしないでほしい。

もし会社の経営がうまくいかず困っていたり、誰にも相談できない悩みがありましたら、いつでもご連絡ください。

ご連絡はTwitterのDMまたはホームページから。

会社の倒産を経て、本当に良い経験をさせてもらいました。
この経験を世の中に活かすことが、私の使命でもあると思っています。

おしまい


新型コロナウイルスの影響により会社経営が立ち行かなくなると判断したため、2020年5月に会社を清算することにしました。この経験を広く伝えていきたいと思いますので、応援よろしくお願いしますm(_ _)m