物流は楽しい
今回は完全に主観ですが、物流に関わる人は普遍的に感じているのでは?と思い込んでいることです。
それでは物流の楽しさを解説していきます。
物流のゲーム性
長年、物流業務に携わっていて、私自身この物流の仕事が好きです。なぜなら仕事自体が断然、面白いからです。
何が面白いかと言うと、そのゲーム性です。
遊んでるのか!と怒られそうですが真面目に話をすると、物流には安全を確保するための法的な制約が非常に多いです。コレを1つ1つクリアしていかないと貨物は運べません。
重量制限、サイズ制限、危険物制限、温度制限、各種許可要否、必要書類の作成と提出、通関等、これらを納期や船、飛行機のカット時間に間に合うように準備が必要です。
さながら時間内に全てのアイテムをゲットするゲームの様です。
また物流は組み合わせのパズルゲームです。
輸送コストは混載する事で費用を大きく抑制でき、利益が上がります。可能な限り積載率を上げる事が大きな仕事なのです。しかも各種制限もクリアしながら組み合わせていく訳です。3Dテトリスです。
予定の貨物を見た時に、レベルが高いとワクワク感があります。珍しい貨物や難しい貨物が来ると新しいボスキャラに出会った様です。「うわー、こんなの来たかー!どう倒してやろう?」という感じです。
更に無事出荷、納入が終わった時の達成感が非常に大きいです。
繁忙期だとコレが輻輳していく訳です。やるぞ!という意気込みで仕事に掛かります。
これは世界中のどこでも、輸送中のどの工程でも、同じ様な作業を繰り返して、物流は成り立っている訳です。
コンテナターミナルでは
物流を全く知らないと現場のイメージが付きにくいかも知れません。
私は社会人1年から3年目までコンテナターミナルのフォアマン、プランナーとして働いていました。ここでの経験が現在の基本になっているように思いますので、コンテナターミナルで事例を紹介したいと思います。
コンテナ船は船の到着1-2週間前からブッキング情報としてコンテナの仕向地と種類と本数が代理店から流れて来ます。これがカット日に向けて精度が上がっていきます。
本船到着の数日前くらいに本船の積付情報がやって来ます。荷揚げする船倉、甲板上の場所に輸出予定のコンテナを積込む計画を立てていきます。
並行してターミナルに搬入されたコンテナの配置も検討します。効率よく船に積み込むためです。先に積み込みたいコンテナがコンテナヤードの山の下にあっては作業が遅れるからです。重量も考慮して重いものを手前に、上に配置していきます。また荷揚げするコンテナの保管スペースも確保していきます。
次にコンテナの積付(ベイプラン)をプランニングをしていきます。
ベイプランは
・40フィートの上には20フィートは載せられない
・40フィートのハイキューブは高さ制限あり
・フラットラック等のオーバーゲージの上と左右には載せられない
・冷凍コンテナは電源プラグの位置制限あり
・危険物は等級に応じて隔離
・船の前後、左右のバランス
・前後方向の船体曲げ応力
・寄港順にコンテナを揚げられるように配置
などなど様々な事を考慮して作っていきます。
次に作業の工程表(スケマティックプラン)を作成します。
クレーンと作業を何ギャング(作業班の単位)使うかを考え最短の作業計画を立てます。クレーン同士が近くなってしまうと同時に作業が出来なかったりします。揚げ作業先行でするのか、揚げ積みを繰り返すのかも、船のバランスも考慮しながら工程表が作られていきます。そして工程表に合わせてギャングの手配を行います。
必要あればヤードのコンテナ配置も荷役前までに並べ替えをします。オーバーゲージの貨物や危険物の一部はヤード内に入れられないため、引き取りのトレーラーに時間を連絡します。これで本船の到着を待ちます。
本船が到着し、しっかり計画が出来ていれば、荷役作業が始まり手放しになります。次々と輸入コンテナが本船から降ろされ、ヤードから輸出コンテナが積まれていきます。1クレーンあたり30-40本程度で作業が進みます。
後はトラブル対応のみです。本船にバラストタンクの調整を依頼したり、船側の設備が壊れて使えないとか、コンテナ積付の見直しを作業中に要請されたりもします。珍事としては密入国者が出てきたり、船員の病人対応したりと仕事は尽きません。
何も問題がないと船員のティータイムにお呼ばれなんて事もあります。
無事作業が終わると本船の出航を見送ります。
海外に向けて港を出ていく大きな船の後ろ姿を見ると、何とも言えない達成感が込み上げてきます。
物流はダイナミック
物流の現場でいつも感じるのは、色々なモノがこれほど多く必要とされているんだと言う事です。
コンテナターミナルで見る物量は凄まじいです。広大なヤードがコンテナで埋め尽くされます。空港でも大きな上屋に貨物がひしめきあっています。これが毎日出て入って入れ替わっていくのです。
好景気だと貨物が溢れかえります。付近の道路でトレーラーの大渋滞も発生して交通整理しないといけない事も。逆に景気が悪いとスペースの余裕が出るので景気のバロメーターとして港の貨物を見る事も出来ます。
そして輸送する船も巨大です。見上げても上の方は見えないです。舷梯を登り降りすると息が切れるほどです。船首と船尾では作業状況も見えません。
飛行機も100トン近く貨物を積載して飛んでいく姿は本当に圧巻です。
これらの船や飛行機が何隻も何機もモノを運んでいてダイナミックです。
これを間近で見て肌でモノの流れを感じる事ができる魅力的な職場です。
物流はモノが毎日毎日、大量に動いて我々の生活を支えているんだと日々感じる事が出来る仕事なのです。
物流はチームプレー
私は大型貨物を扱う事も多く、輸送の検討が始まるとゾロゾロと人が集まって来ます。
法的にクリアできるか、技術的に解決できるか、治具、コンテナ、車両、船をどう揃えるか、載せ卸しのハンドリングどうするか、道路や岸壁、エプロンの強度は耐えられるか、通関はどこでするか等、検討項目は尽きません。パートナー企業や関係官庁とも一緒に調整をしていきます。
コレらのパズルゲームをみんなでクリアしていきます。大勢の人の力を合わせて一つのモノの流れを作っていくのも物流の醍醐味の一つです。
最後に
責任が大きくなるに連れて、ドキドキするオペレーションは自分の手から離れ、全体を俯瞰的にみて戦略を考える事が多くなりました。しかし、それもパズルゲームです。数々の課題解決し、安定供給のために現場をイメージしながら企画を練り上げていきます。
現場ほどの楽しさは減りますが、事業の未来を見据えながら、全体の方向性やサプライチェーンのあるべき姿に想いを巡らせるのは、責任を感じるとともに、やりがいのある仕事です。
多くの物流関係者にも俯瞰的な視点を持ってもらい、その戦略をどの現場でも理解して貰えれば、臨機応変な対応でモノの流れは円滑になり、事業の成功と成長に繋がるのではないかと思っています。
その布教活動はまだ始まったばかりですが、2023年は更に活動をしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
以上、今回はここまで。
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