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日本の倉庫を全て空調化したい

今回は勝手な私の個人的な想いだけの記事です。

多数の倉庫を管理していましたので、倉庫にはよく足を運びました。
現場の様子を見て状況を把握することは、維持管理や改善の糸口に繋がりますので非常に重要です。

しかし、少々辛いと思うのが夏場の倉庫です。気温が40度近くになる事もあり現場を歩き回っていると汗だくで、早くエアコンの部屋に戻りたくなります。

そこで倉庫とエアコンの悩ましい問題について語りたいと思います。



過酷な現場


暑さで一刻も早くその場を離れたくなる倉庫現場

その現場で朝から夕方まで作業されている方達には本当に感謝しかありません。

スポットクーラーや扇風機、送風機付きの作業着など色々と対策はしているものの暑い事に変わりは無く、やはり辛い職場です。継続して働かれている方は適応していると思うのですが、新たに配属されてすぐに嫌になる方も少なくないでしょう。

このままでいいのか?といつも疑問に感じていました。

エアコン設置の検討


それではエアコンを付けよう!と計画をしてみるのですが、倉庫には壁がないのに、そこには現実の大きな壁があります…。

倉庫のエアコンの何が問題なのか?

(倉庫空調化の課題)

  • 倉庫は天井が高く、出入口の扉が大きい

  • 搬出入が絶え間なく行われるので、大扉を閉められない

上記状況なのでエアコンを設置しても温度をコントロールする事が非常に難しい環境なのです。

そして最大のネックはエアコンの設置費用です。数平米程度の家庭用とは異なり数百、数千平米を冷却するエアコンは非常に大型で数も多数必要です。その金額は倉庫の規模によっては数千万円から億を超えます…。

家庭用エアコンが6畳=11平米/4万円と考えると
3,000平米の倉庫だと単純計算で
3,000平米÷ 11平米/4万円= 1,0901万円です。。。
実際にはより強力な仕様になるため、もっと高額になります。

既存の倉庫を容易に空調化する事が難しいのです。何とか切り盛りしている倉庫に突然これだけの費用を掛けようとすれば、当然、費用対効果を出せと言われます。そのアイデアが出てくる人は中々いないでしょう。

法規制


空調化の壁は法令もあります。
建業法と消防法そして倉庫業法です。

倉庫業法で許可を受ける倉庫の基準は一般的な建物より厳しいものとなっています。大量の同じ貨物が保管される可能性がある倉庫では一度火災が発生すると一気に火が回り被害が大きくなる傾向にあるためです。これに変更を加えるのは簡単ではありません。営業倉庫の場合には注意が必要です。

また営業倉庫でなくとも、倉庫内を区画することは建業法では規制されます。許可を受けずに壁の設置はできません。また消防法も消防設備の配置や数が基準を満たすように再度検討する必要があります。これはかなり難しい変更になります。私自身も何度か検討しましたが、成功した事例は1例のみです。防火仕様の材質や消防設備に影響でない配置でかなりの労力を使いました。

対策案


それでは悩ましい倉庫空調化の対策案ですが

コンテナハウス
まず簡易に法令をクリアするにはエアコン付きのコンテナハウスを持ち込むことです。これだと事務エリア、休憩スペース、少しの作業エリアだけになるますが、応急対策としては有効です。費用もかかりますが倉庫の改修に比べれば割安です。納期も短いメリットがあります。保管スペースを使ってしまいますが、まずは対策の第一歩です。

区画空調
前述している通り難しいのですが、全く出来ないということではありません。広範囲ではなく部分的にエリアを区切り、その部分だけ空調化します。作業が集中するエリアに設けられると一番良いです。状況によっては作業フローやレイアウトの変更を検討してもいいでしょう。
出入口には難燃性のビニールカーテンを設置するだけでも一定の効果はあります。

倉庫新設
一番の解決策は倉庫を全く新しく作り変える事です。空調前提でのレイアウトをして設計をします。断熱材や倉庫の壁の配置も空調の効果が最大限得られる形にまとめるといいでしょう。トラックの搬出入口も二重扉や冷凍庫のようなドックを設けてしまい、作業エリアとトラックエリアを仕切れると一番です。

日本全国倉庫空調化


倉庫に空調なんて無理だ!と多くの方が思っていると思います。

目の前ではその通りです。
しかし、倉庫の空調を諦めてしまっては労働者が離れていくばかりです。自動化すればいい!なんて思うかもしれませんが、ロボットこそ熱に弱く空調が必要です。

また製品品質・保護の面からも温度管理を要求する商品は増加傾向にあります。高度な商品・高額な商品ほど適正な温度を求めます。

作業環境の改善、自動化の促進、製品の品質向上のためにも倉庫の空調化に本腰を入れていかないと日本の物流はまた危機を迎えてしまいます。

そして倉庫は長く使われますので、長期的な視点で空調化計画をして頂けたらと思います。

まとめ


すでに暑さの峠が過ぎてしまい。暑さ対策がトーンダウンしていく時期です。しかしながら倉庫の空調化には長い時間が掛かります。

倉庫を管理されている方は、ぜひ来年度以降の倉庫現場の改善を目指して今から対策を検討して予算を確保して下さい。

そして倉庫で働きたい!という人口を日本でもっと増やせたらいいなという独り言でした。

今回はここまで。
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