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クロノゲートを見に行きました

2024年6月、以前から気になっていた羽田クロノゲートの見学に行きました。仕事ではなくプライベートで家族と一緒です。

クロノゲートは既に竣工から10年が過ぎており早いものだなと思いました。
こちらが竣工した2013年は私自身も倉庫大再編を行なっていた時期でクロノゲートのニュースは参考になる事が多い筈だと感じており、いつかは見学に行こうと思っていたからです。

結局、そのチャンスは無く今回の旅行の中に入れて貰いました。子ども達の社会見学にもなる筈だと思ったのも理由です。日々自宅に届く宅配便がどのように運ばれているのか?興味を持つキッカケにもなると考えたからです。

またクロノゲートの仕組みについて詳しく解説した記事も見つける事ができませんでしたので多くの方に物流の理解を深めて貰うためにも見学内容を記事にしました。

クロノゲート見学コース入口

予約方法


予約は見学日の30日前の0時からオンラインで可能です。競争率が高いと聞いていましたが運よく5人分の予約を取れました。予約後3分以内には埋まっていました。

予約ページはこちらから
https://www.yamato-hd.co.jp/facilities/haneda-chronogate/reservation.html

注意点のポイントを抜粋すると以下の通りです(記載時点のものですのでHPを必ずご確認ください

  • 月曜は休館日

  • 火、水曜日は午後のみ、金曜は午前のみ

  • 車での来場不可

  • 10名超の団体は受付けていない

  • 写真撮影は出来ない箇所が多い(一部可能でした)

クロノゲート概要


クロノゲートの概要は以下の通りです。

敷地面積:約10万㎡
延床面積:約20万㎡
総工費:約1400億円
竣工日:2013年9月20日

(設備詳細)

  • 運営:24時間365日稼働、集中管理室は3交代で対応

  • トラックドック:104ドック

  • シューター数:48シューター(70ベース向け)

  • クロスベルトソーター:2レーン・総延長1070m

  • ソーター数:1336枚

  • ソーター速度:9.7km/時間

  • ソーター能力:50kg/枚

  • ソーターサイズ:1.3x0.54m

  • 処理能力:4.8万個/時間

子どもを抱えながらのメモで多少間違っているかも知れません💦
もし間違いなどあればご指摘ください!

70ベース向けの貨物を48シューターで捌くため、量の少ないベースは時間帯を分けてシューターを利用しているそうです。

また大きいものは別のスライドソータを利用(ゴルフバックや花など)してスピードと取扱幅の両立を図っているようです。

ヤマトの処理実績は23億個/年で、うち2割がここ羽田クロノゲートが担っています。
次いで厚木、愛知、大阪ベースが2番手で同じくらいの扱い量で人口に比例した扱い量となっています。

そして1400億円という金額に驚愕しました。半分以上が土地代だとしても建屋、設備もかなりの額です。私が手がけた倉庫と2桁位違います。

見学内容


見学時のパンプは大人用と子供用で別れていました。

パンフレットはこちらから確認できます。
一般向け
https://www.yamato-hd.co.jp/facilities/haneda-chronogate/pdf/haneda-chronogate_pamphlet_jp.pdf

子ども向け
https://www.yamato-hd.co.jp/facilities/haneda-chronogate/pdf/haneda-chronogate_childpamphlet_jp.pdf

館内の様子(写真は随時上げます)

巨大なクロネコ
車も魅力的、とても乗り易いんですよ
クロネコ発見!
裏は白ネコ
何も隠すな。物流でこれを言える人がどれだけいるか
綺麗な入口で開放感あります
実際に手に取って確認でき子ども達は夢中に
キューブには多言語で書かれています
ぬいぐるみ欲しい!
物流にかかわるキーワードが多数
バーコードは口ほどにものを言う
在庫ゼロ目指したいですね
物流の基本。集めて仕訳
新旧マーク
次世代につなぐために
引き出しには様々な展示が隠れています
車の長さを比較
ミニチュアでJIT BOXを体験
引き出しには色々な仕掛けが
仕訳の仕組みを理解
どのメッセージも刺さります

基本的な仕組み


まず宅配便のベースの基本的な仕組みです。

  1. その地域で集めた貨物をカゴ台車でベースに搬入

  2. カゴ台車からターンテーブルに貨物を並べる

  3. ターンテーブルが回って貨物が周回する

  4. ターンテーブルの周囲がベース別に区切られており回って来た該当の貨物をターンテーブルからベース別のカゴ台車に乗せる。どこのベースかはラベルの頭2桁だけを見れば区別できる。

  5. 別の各ベースから到着したカゴ台車をトラックから降ろす

  6. 4.で仕分けされたカゴ台車をトラックに乗せて各ベースへ戻る

  7. 5.で到着したカゴ台車から貨物をターンテーブルに降ろして拠点の各配送センター別に仕分ける。ラベルの中央2桁のみを見れば区別できる。

  8. 各配送センター向けのトラックが到着したらカゴ台車を乗せて配送センターに向けて出発する。

  9. 配送センターでも同様に仕分けて街で見かけるクロネコのトラックに乗せられ各家庭に配られる

これを繰り返す。イメージは下図の通りです。図では
エリア、地区01=ベース
地区02〜=配送センター
と読み替えて下さい。

ターンテーブルが仕分けで大活躍
出荷と入れ代わりで入荷で仕分け

もちろん例外もあり、1ベース向けに出荷時点でカゴ台車が満載にされている場合にはターンテーブルには載せ替えず、そのまま各ベース向けのドックに持っていき待機します。これはターンテーブルの作業数を減らせるからです。BtBや工場から出荷されるもので首都圏向けなどはこうなる傾向にあります。

その他にもメール便やクール便、大型のものは別ラインで扱われます。

貨物の出荷、入荷のアンバランスもありますのでトラックの増減を手配師の経験と勘で調整します。これが外れると積み残しやトラックが来たのに荷物が無いなんて事も…。
これはかなり前の話なので、今はプログラムやAIで自動化されてるかもしれません。

クロスベルトソータについて


上記仕分けを従来のベースはターンテーブル以外を手作業で行なっていたのですが、クロスベルトソータはこれを超高速で自動で仕分けをしていきます。早過ぎて人間の目ではラベルどころか貨物も何か分かりません。

例えると昔は回転寿司くらいのスピードですが、クロスベルトソータはジェットコースターです。

首都圏の貨物はこのレベルでないと捌けないのだろうと思いました。2023年12月に故障した時の影響が甚大だった事からもその量の多さが伺えます。


クロスベルトソータはセルとベルトコンベアの組み合わせで構成されており高速処理を実現しています。詳しくは聞けませんでしたがステッピングモーターで高精度なコントロールをしていると思います。

イメージは下図の通りです。

クロスベルトソータのセル図解

入口コンベアの斜めの使い方も痺れました。
細長いコンベアを組み合わせて斜めの入射角度を確保しています。これによりスピードについていける構造だと思います。90度の入射角ではコンベア全体のスピードを落とさないと行けないからです。

また出口シューターはコンベアではなく単純な滑り台です。上記図では省略して書いていますが入口付近が扇状に広がっているので多少ズレても滑り落ちていく仕組みです。

クロスベルトソータ概略レイアウト

そして見学コースから見えた情報を元に概略のレイアウト図を作りました。あまり正確ではないかもですが、おおよそこの様な形です。
1階にはトラックドックがありカゴ台車の荷捌き場になっていると思います。スペースを有効活用するため貨物はコンベアで2階まで上げて、仕分けは全て2階で行います。仕分けされると出口シューターから1階に滑り落ちて戻され、また各ベース向けのカゴ台車に乗せる様です。カゴ台車の垂直移動が排除されており限られた面積を有効活用した非常に効率的なレイアウトと言えると思います。

更に上階には付加価値機能を持っており、検査や製造も請け負っている様です。これもコンベアで昇降します。

このレイアウトはどの物流倉庫でも参考になると思いました。個人的には垂直搬送機、エレベーターが排除されているのがとても好印象でした。貨物・作業の流れが一切止まらないからです。

ちなみに23年12月の故障は入口コンベアのどちらかが全く使えなくなったのではないかなと予想しています。見学中に質問してみましたが丁寧に教えてもらえました。1レーン壊れた事でその分の貨物を全て人力で行なったそうですが、半分の能力では当然貨物を捌けないため、もう少し分散したレイアウトでも良かったのかも知れません。

その他


地域貢献ゾーンには体育館やカフェ、託児施設があります。敷地全体は公園のような作りです。そしてオススメはカフェのパンです。偏食の娘も美味しいと言って沢山食べてくれました!ぜひお試しください。

ちなみに私は到着前にお昼が食べられず、見学前にパンを購入して食べました。

オススメの猫球ぱん!

見学後にカフェのドリンク無料券が貰えますのでお試し下さい。400円以上購入が条件でしたが、見学前に買ったんですけどいけますか?と確認したら問題なかったです。ドリンクを家族で頂き帰りました。

まとめ


実は昔、愛知ベースでアルバイトをしていた経験もあり、宅配便、ベース店の一連の仕組みは理解していました。しかし羽田は規模が全く異なり空港、港の隣接地と言う好立地もあり運用も大きく違うのではないかと考えていました。

またヤマト運輸は就職活動でもエントリーした企業でもあります。海上勤務ではなく陸上勤務に就職方針を切り替えた際にどの企業がいいだろうかと考えた時に一番興味を持ったからです。当時としては先進的なシステムや独自のトラックを導入していて物流の未来を感じたと記憶しています。

やはりクロノゲートを見ても学生時代に感じた印象と変わらず、とてもチャレンジング精神溢れ、憧れる企業だなぁと感じました。

宅配便のリーディングカンパニー
ありがとうございました!

あと書いていて見つけましたのでこちらもご参考まで撮影出来なかった見学ルートの写真が多数ありましたのでとても参考になります。

今回はここまで。
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