倉庫は作る?借りる?
今回は倉庫の計画についてまとめたいと思います。
物流部門で倉庫の建設or賃借に悩まれる方もいると思います。
わたしも倉庫には長年悩まされてきました。
事業環境が大きく変動し、倉庫不足、倉庫過剰の対応に追われ続けてきたからです。
倉庫を立ち上げるのに一番悩ましいのは作るか、借りるかです。
倉庫管理の悩み
そもそも日々の倉庫管理の悩みとしては以下のものがあると思います。
保管スペース不足
倉庫の老朽化によるメンテナンス費増加
耐震不足によるBCP対応の必要性
必要な場所に空き倉庫がない
賃借契約の期間が長い
これらを解消するため決断を迫られていると思いますので、倉庫建設or賃借のメリット・デメリットをそれぞれ考えたいと思います。
倉庫建設のメリット・デメリット
土地を持っているが、倉庫が無かったり更新が必要な場合は、その用地での建設がまず視野に入ってきます。
建設のメリット
要求を自由に盛り込める
特殊仕様でも対応可能
耐震性の向上
メンテナンス費の圧縮
(更新の場合)古い倉庫の撤去により雑損を計上出来る
建設のデメリット
多額の初期投資
キャッシュフローの悪化
固定資産を長期に所有するリスク
計画から建設、運用開始までのLead Time(L/T)が長い
市場にある倉庫では要求仕様を満たさない(例えば温湿度管理や空気清浄度管理など)、適切な場所に倉庫が無く、保有する土地が最適な倉庫ロケーションであれば建設も良いでしょう。
また余剰資金があるのであればキャッシュフローは気にしなくても良いかもしれません。ただし長期で倉庫を抱えるリスクは残ります。特殊仕様の場合は、いざ倉庫を手放そうとしても買い手が少ない可能性もあります。
倉庫賃借のメリット・デメリット
必要な場所に借りれる倉庫があるのであれば、それを活用するのも手です。ベンチマークとしても、まずは市場にある倉庫の調査はするべきでしょう。費用対効果の算出にも使えます。
賃借のメリット
運用開始までのL/Tが短い
柔軟な倉庫面積の増減、移転が可能でリスクが低い
初期投資を圧縮しキャッシュフロー悪化の防止
メンテナンス費を気にしなくて良い
賃借のデメリット
必要な場所、必要なタイミングに空き倉庫が無い
建設と比較すると平米単価は高い
大型倉庫の場合は契約期間が長い
古い倉庫しか確保できない場合がある(耐震性がない)
倉庫立上げで考慮すべき事項
その他、考慮すべき事項としては倉庫作業者の労働環境の確保です。建設でも賃借であっても必要な事項です。
通勤方法
更衣室
休憩室
食事
トイレ
空調
倉庫は僻地に作られる場合も多く最寄駅のチェックや用意する設備も変わりますので男女構成のチェックが必要になります。
古い倉庫だと女性用のトイレが無いなんて事もあります。
作業を委託する会社で対応してくれる場合も多いですが設備面では人数規模や構成を事前に調べておいた方が、途中で予算不足に悩まされることも減るでしょう。
まとめ
以上の通り倉庫を作るか、借りるかでそれぞれメリット・デメリットがあります。倉庫の目的や事業状況にも大きく左右されると思いますが、わたしの結論は倉庫は「借りる」です。
今の世の中、急激な変化が付きものです。一定の大きさの倉庫を長期間にわたり過不足なく運用するのは非常に困難です。その状況で多額の投資をするのはリスクが大き過ぎます。
倉庫建設は、事業が右肩上がりの時に話が持ち上がります。しかし突然の業績低迷となった場合に持っている固定資産は中々手放せず苦しむことになります。賃借であれば契約期間内であっても調整は可能です。
わたしも突然の倉庫解約に迫られた時に、倉庫建設を進めなくて良かったと胸を撫で下ろした経験が何度かあります。
必要な時に、必要な分だけ借りて増減しながら倉庫運用するのが最適だと思います。
もし特殊仕様が必要な倉庫の場合であれば、提案要求(RFP)で物流パートナーや不動産パートナーに建設してもらい賃借する方法もあります。この場合は契約期間が長くなる傾向にありますが倉庫に汎用性を持たせて短期での契約を提案してくれる場合もあります。
一度、各パートナーと相談してみることをお勧めします。
以上、今回はここまで。
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