H.S.findを振り返る
今回は過去のプロジェクトの話をしたいと思います。
今思えば、物流の価値向上の一つだったのかなと思い、一度こちらでプロジェクトの総括をしたいと思います。
H .S.findとは?
実行関税率表、輸出統計品目表をご存知でしょうか?そして、その冊子の値段をご存知でしょうか?かなり高額です。
でも不思議では無いですか?なぜ関税協会は冊子を販売している一方で、それと同等の内容でより便利なWebタリフを無償で提供しているのか?売上を落とす可能性があり関税協会にはメリットは全くありません。
これは私が始めたH.S.find.ath.cxが長年無料でタリフの検索機能を提供していたからです。Webタリフの元祖、それがH.S.findな訳です。
H.S.findを始めた時、Webタリフは存在しませんでした。
そしてWebタリフが後から作られ、その機能とページ構成はH.S.findと全く同じです。笑
もし違ったらごめんなさいですが、システムを発注する際にH.S.findと同じものを作れと指示したんだと思います。それぐらいページが同じなのです。
H.S.findをはじめた理由
当時、私は通関士をしていました。航空貨物を扱っていたので、常に時間に追われていました。特に月曜の朝は吐きそうな程です。朝から多数のお客様から急いでくれ!と電話とメールが殺到します。とりあえず短時間で通関許可をしないといけません。
特に最初はタリフの検索に苦戦しました。コンテナターミナルで働いていた私はタリフのどこに何があるのか見当も付きません。先輩の通関士に聞くと親切に教えてくれましたが、ここに達するのにどれくらい時間が掛かるのだろうと不安でした。
3年間通関業務には従事しましたので、最後には、すっかりどこに何があるかは把握出来ましたが、やはり習熟するのに時間が掛かりました。手っ取り早く検索して、比較した上で税番を検討したいと常々思っていました。
要するに分厚いタリフのページをめくって税番を探すのが面倒だったのです。
その頃にはネット上のWebシステムも少しづつ出てきており、電話でやり取りせず対応できるシステムの圧倒的な便利さに驚き、自ら何か作ってみたいと思っていました。
面倒なタリフ検索をネット上で実現すれば会社の許可も不要でシステム構築でき、
業務も楽になる、さらに一般公開したら多くの方の助けになるだろうと考えて、H.S.コード検索システムの構築を決めました。これがH.S.findが始まりです。明確なスタート日時をしっかり覚えていないのですが、おそらく2007から2008年にかけて開発を進めてローンチしたと思います。
H.S.findの仕様
H.S.findは以下の構成で作られました。
・MySQL:DB(無料)
・Apache Tomcat:サーブレット(無料)
・Java:アプリ(無料)
当時はお金が無かったので図書館で本を読み漁り、すべて無料で作りました。
図書館って素晴らしい!と大人になって初めて思いました。
更に税関のHPからタリフを自動で取り込めるようにJavaでスクレーピング・プログラムを作り、1−97類のタリフをボタン1つでデータを取得していました。ただそのままだとデータが崩れる事があったため一旦エクセルに落とし、マクロでクレンジングしてからDBに投入をしていました。年度で更新されるため、そのための自動取り込みを作りましたが、EPAが始まった事で取り込み頻度が増えたので助かりました。最初のEPA2つまでは協定税率などと合わせて、一つの表で表示していましたが3つ目からは限界と判断してEPAだけ独立したページを作りました。
なおこのプログラム、H .S.findの仕様については東京税関に問い合わせをして、実際の画面を提示した上で「公開情報につき全く問題ない」と了解を貰いました。
自宅にDellのサーバーを購入して設置しました。ここだけはお金を掛けました。24時間365日動かすには信頼性の高いものにすべきと本を読んで結論つけていたためです。レンタルサーバーも考えましたが負荷がどれくらい掛かるか予想がつかないのと手元で色々試した方が勉強にもなると考えたのです。
基本のページ構成、遷移は
輸出・輸入・何年度のタリフを見るかを選択
キーワード、税番を入力し検索
候補をリストアップ
該当のタリフのページを表示し、キーワードをマークアップ
各税番をクリックして単票の税番を見やすく表示
となっていました。4のタリフのページ表示はこだわりました。紙のページを見たようにしたかったのです。紙と異なり改ページはありませんのでシームレスに見ることができます。改ページは紙で見る際にストレスだったので解消を目指しました。また単票も必要と判断しました。タリフに慣れていないと税率を読み間違えるからです。そのコードの単票を見れば税率を見間違える事はありません。
機能でWebタリフと変わりませんが、異なる点は他法令でした。
他法令は当時、紙の表にしか記載がなく自動で取得が出来なかったのです。
H.S.findはこの問題に対してユーザーの力を借りることにしました。他法令をユーザー自ら登録してもらう方式を取りました。一人が入力すれば皆さんに共有できるので100点とは言えませんが、それなりに有効でした。ちなみに登録された他法令で間違いは無かったです。ユーザーの皆さん素晴らしいです。
Webタリフ側は他法令が、普通に表示されるのでここが大きい機能差だったと思います。
その他の機能にはコンテナ・チェックデジットを確認する機能や航空機免税を確認する機能など、自分に必要だったなものが多いです。
プロジェクトの停止
H.S.findが停止した理由は、まず、航空機の生産が右肩上がりの時期で私が忙し過ぎたというのが一つです。
スケジュールは毎日、朝から晩までテレビ番組表のように埋まっていてH.S.findをメンテナンスする時間が取れなくなっていました。
そして、もう一つはドメインの値上がりです。元々無料で始めたドメインでしたが年毎に値上げされ、遂に広告収入を超えたのです。
そして致命的だったのが、自宅に設置していたWebサーバーの故障です。長年の連続稼働でハードディスクが壊れてしまいました。
修理も考えましたがWebタリフが存在すること、ドメインとハードディスクの費用を考えると費用対効果がない、そもそもその時間が取れないと判断し、2015年にプロジェクトは終焉を迎えました。
H.S.findの成果
このプロジェクトで大きく3つの成果がありました。
・タリフの電子化を促進した。
・電子タリフの無料化を確立した。
・Webシステムの基礎を習得し、物流システム構築に活用した。
Webタリフは多くの方が使われていると思います。もしこれが無かったら、中小の貿易会社には相当な負担だったと思います。タリフは通関業者でも通関に従事する人にしか配られないのではないでしょうか?より簡単にH.S.CODEにアクセスできるようになったはずで、一つの成果にはなったと思います。
また個人的な成果ですが本業の社内の物流システム構築に、このノウハウを投入しました。当時、オンラインで外部と結ぶシステムは絶対に成功しないと言われましたが、難なく立ち上がり既に13年が経過して航空機生産の基幹物流システムとして稼働しています。これもH.S.findの経験なしには成功はなかったと思います。
課題
マネタイズ:
まずマネタイズに失敗しました。というか真面目に考えていなかったです。Amazonアフィリエイトに検索ワードを自動で投げて関連書籍の宣伝を表示する仕様にしました。ユーザーが検索したキーワードのアイテムの宣伝が自動で出るので個人的には大満足してましたが、ほとんど買ってくれる人はいませんでした。笑
仕事で会社のPCで調べてるのに、買い物なんかしないですよね。当時スマホも無かったですし。なのでGoogleの広告収入だけが頼りでした。
サーバー管理:
勉強のためとは言えサーバーの自宅での24時間管理は大変でした。特に夏場の昼に熱で何度も落ちました。会社のPCからサーバーの状態をモニタリングしてました。エアコンが設置できない部屋で扇風機で冷やすというアナログな方法で対応していました。いつもサーバーが気になって仕方がない状態でした。レンタルサーバーにしなかった事を本当に後悔しました。
バックアップ:
バックアップはプログラムで作らなかったのでマニュアルでコピーして保存していました。作るよりも簡単だったので、まあいいかでズルズルとやってましたが忘れる時や、作業できない時もあり最初から用意すれば良かったと思いました。
古いプログラムですが今もバックアップはあります。もしWebタリフが有料化したらH.S.findが復活するかも?
まとめ
という事で皆さんH.S.findは終わりましたが、現在はもっと視点を広くした物流の価値向上のための物流DAOで活動しています。同じ方向性で活動できていると思っています。そして今は多くの仲間がいるのが違います。時代もweb3時代に突入し、全く違う概念が多数出てきています。もっと物流を楽しくワクワクするものにしていきたいと思いますので、物流DAOへのご支援をよろしくお願いいたします。
以上、今回はここまで。
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