メイクをきちんと友人に教わった件
大学進学と同時に、私はメイクをするようになった。必要なコスメをひと通り洗い出し、近所のドラッグストアで買い揃え、雑誌を見ながら一生懸命真似をして…とても手間と労力がかかった。女として生まれた以上、エチケットとしてメイクはすべきだということで、女に生まれて面倒事が一つ増えたとしみじみ思った。
しかも、全然うまくいかない。アイラインはガタガタ。ビューラーは瞼を挟んだことがトラウマになり、以後2年ほどコスメポーチの奥に封印された。何より困ったのがファンデーション。いつのまにか漆喰のような仕上がりになってしまう。こんなんなら素肌の方がよほどいい。
そこで私は考えた。メイクをする目的は、顔を綺麗に(ここで可愛くに走らないのが私である)するためだ。それなら上手くならないと労力とコストが無駄になる。私はオシャレな友人に相談した。このオシャレな友人は、社会人入試で大学に通いだしたお姉さまで、売り上げ日本一の美容部員だった。私がメイクで悩んでいると伝えると、お姉さまはこう言った。
「あおちゃん若いのに、メイクに気を遣うなんて!えらーい♡」
ゴリゴリのリップサービスに気を良くした私は早速レッスンを受け始めた。すると、衝撃の事実が判明した。
「あおちゃん、メイクは引き算よ!」
てっきり私はメイクというのは道具を一通り全部使わないとまずいものだと思っていた。ところが、お姉さま曰くそれではケバケバしくて老け込んでしまうという。
そこで、しっかりメイクするところとナチュラルにメイクするところとを分けた方が若いうち(いつまでなのか気になる)は似合うのだそうだ。私の場合、東南系のハーフに間違われるような顔の濃さのため、目もとは控えめにアイラインを引く程度にしてリップを濃くするのが良いと教わった。
「あらぁ~あおちゃん、いいじゃなーい♡」
何度か助言をもらって改良を重ねた結果、私はようやく自分で納得がいくメイクができるようになった。
それにしても、高校ではメイクを禁止にする学校が多いのに、大人になったらメイクがエチケットとして女性に求められるのは困ったことだ。どうせ大人になって必要なら、高校の授業にメイクの授業を入れてほしい。そうでなくても、せめてメイクを校則でOKにしてくれれば慌てなくて済むのに。
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