追伸、あなたに似てきたよ
母がいなくなって、2年と2ヶ月。
亡くなる前日に「じゃあ、またね。」と別れてからもうすぐ3回目の冬だ。
あれから毎日、毎晩、母に話しかける。
今日はどんな日だった?
機嫌良く過ごした?
私はこんなことがあってね。
聞いているんだかいないんだかわからないけど、寝る前の数分間は母に話しかける時間になった。
不思議なもので、生きてきた頃よりもっと近くに感じる。もともと仲はよかったけれど...いや、いい関係になったのは私が大人になってからか。
子供の頃は母の感情的な性格に正直うんざりしたもんだった。
当時(いや、今も)ぽっちゃりしていた私は母のお気に召すレースのヒラヒラとかリボン、とにかく女の子らしい洋服がサイズ的にも着られないし、破滅的に似合わなくてずいぶんとがっかりされたもんだ。
次から次に試着室に運ばれるフリフリのLサイズがことごとく入らなくて、大きなため息をつかれて「何を着せても似合わない」なんて言われた。
たしかに似合ってはいなかったけどさ。
だから自分で買えるようになるまでは母と洋服の買い物は鬼門だった。
思い出した。母が憎すぎて小学生が思いつく限りの罵詈雑言をノートに殴り書いたこともあった。
こんなに似てないってことは、私はもらわれっ子で、どこかに私に似た優しくてふくよかなママがいるんじゃないかとコセキを調べようとしたな。
改めて思う。
私、よくグレなかったもんだよ。
とはいえ、母は嘘のつけないお茶目で憎めない人だった。まぁ同い年でクラスにいたら絶対に仲良くはならないタイプだけど。
少女だった私も大人になり、知識も経験も増えて対等になり、そしていつからか知識においては私がちょっと優位に立つようになったんだっけ。
そうそう!
母は言い間違いと勘違いが天才的な人で、そこが超絶キュートだった。
あるときなんて、とある交通事故を目撃して、
「あれは7:2で白い車が悪いね」だって。
「えー、...残りの1は誰が悪いん?」
なんてやり取りがしょっちゅうで、だいぶ笑わせてもらった。楽しかったな。
ー あの世はあるんだろうか?
あったらいいなぁ。
ひと足先に行ってる愛犬と、ばあちゃんがいれば寂しくはないよな。
何十年か後に私も合流して、会えない間に起こった出来事を面白おかしく話してあげよう。
またゲラゲラ笑おう。