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【第2話】出会い

■第2話 出会い

「こんにちは、はじめまして!」

初めてその方と会ったとき
感じたのは、

"雰囲気が重たい"

ということだった。



初めてだから多少緊張する
ことを差し引いたとしても
なんとなく重たい雰囲気が
伝わってくる。


話をしてみるとその直感は
当たっていて、
肉体的に脚を細くしたい
そういう思いよりも、
優先させるべき事項があった。


自分の人生の課題をどうにかしたい、、
そんな思いが強いように
感じたのだった。




スタジオに来られる方は
初対面でもご自身の深い話を
してくれることがある。

聞き出そうというつもりはないが、

よく相手の話を聞いていると
本心を言っていないように感じるので、
そのことをただ伝えると
深い話をしてくれることが多い。

脚を細くするためにも、
その深い部分をちゃんと話して
もらったほうが良いのだ。





話をしながら、
身体に触れどうなっているかを
確認していく。

僕が学んだ
芯伝整体ではこれを
"芯察"と呼んでいる。


重たさ、硬さ、ストレス度
などをみていく。

身体全体の重さをみていくと、
仙骨、腰椎、胸椎、肋骨の後ろ側など
背面がとても重くなっていた。

ベットにどっしりと重心を乗せて
ビクともしない。
異常なまでの重たさだった。


そのとき、
頭の中にパッと浮かんだことは、

「過去の臨場感が強いのでは?」

ということだった。


人は普段色々なことを考えたり
無意識のうちに何か意識している。

ようは、その割合が
過去への意識が強いように
感じたのだった。


そのことを伝えると、


お客さんは、
過去にあった出来事を話ししてくれた。

その内容から、
子どもの頃からの親との関係に
長年苦しんできたことだったり、
今現在でも影響して課題となっている
ということが分かった。


「もしかすると、
 それが背面側が重たいという
 状態に現れていたのかもしれませんね」

と感じたことを伝えた。

「私もそうだと思います。」

お客さんも何の疑いも持たずに
素直に本当にそう思っている
ということがわかる返事だった。


不思議なもので、
相手が信じてなかったり
まだ本気になれない人の場合は
こういうやり取りにならないのだが、
それはそれで、
その人に必要なことを感じるようになっている。

この話は
また違う機会に話することにしよう。





このお客さんと同じように
親とのことで悩んでいる人は多い。


これまで何人も見てきた。


というか、
深いところで悩んでいたり
何となく自分らしくいられない
という人のほとんどは
親とのことが課題となっている。


その人たちの根本的に
思っていることは同じである。

その思いとは、

愛情を受けてこなかった

ということだ。
事実かどうかはおいといて
そう思い込んでいることが多い。

裏を返せば、

もっと愛して欲しかった

ということになるのだが、
ここをどう捉えることができるのかが
ポイントになってくる。


愛されてないと思ってしまうような
経験をしてきたのだから
仕方がないと言えば仕方がない
まずは、そう思っているということを
認識することから始めるといい。


僕自身の経験から
こうすればいいよという答えはある。

だが、
それを言ったって
意味がないということも知っている。

本人が自分で気づかなきゃ
いけないことだから。

人から答えをポンっと言われても
それは、その人の答えであって
参考にはなるが自分とは違うからなのか、
プロセスが違うからか、
どうも腑に落ちないという人が多い。




それでも、
ひとつだけ伝えておきたいことがある。

自分探しに陥っている人には
とくに伝えておきたいことだ。



それは、

その課題を解決したところで、
全てが解決するわけじゃないということ、

その一つのことを解決するのに
何年もかかるわけだから
全てを解決しようと思ったら
とてもじゃないけど時間が足りない、、



だから、課題は

「小脇に抱えて前に進め」

というふうに言っている、、


一生懸命前に向かって進んでると
小脇に抱えてたと思った課題が
気づいたらポケットに入るくらい
小さくなって、
最終的には気にならなくなっていくのだ。


もし、解決しないと次に進めない
と思っているなら考え直したほうが
いいかもしれない。

無理して解決しようとしなくていい。

そんなに過去に
引っ張られなくていいんだ。

それよりも、
今、目の前のことに集中して
おもいっきり生きることが
大切なのだと思っている。



お客さんにも同じ話をすると、
何か気づいたような表情を
一瞬浮かべたのがわかった。



そのとき

「この人なら変われる」

と思った。

根拠はないのだけど
そう思う何かを感じた。



全体的に
重たい雰囲気ではあったものの、
負のオーラが強かったり
助けて欲しいとか、どうにかして
という依存心が強い状態ではなかったからだと思う。





初回のセッションは、
全部で3時間くらいかかった。
そのうち半分以上は話をしているだけ。


今回の場合、そのくらい
ちゃんと相手の話を聞いて
その人の見ている世界や
前提としているルールを確認して
すり合わせる必要があったのだ。

少しでも分かち合えるようにするには、
時間が必要だった。

それで分かち合えるかというと
それは難しいもので、
相手の言っていることを
完全に相手と同じように理解して
共有することはなかなかできない。

そういうものだと思っている。

だからこそ、
ちゃんと話を聞こうとする。

僕の仕事は言ってみれば、
話を聞くということなのかもしれない。





人から何かアドバイスを言われても
なんか腑に落ちないという経験は
誰でもあるのではないだろうか。

しかし、
自分でコレだ!と
気づけたことは腑に落ちる。

それは、
身体がちゃんと感じている。

この日は、整体をすることで
身体にかかっているストレスが
軽減されることと

何か大きな気づきを得たことで

体も心もスッキリ軽くなったようだ。



「今日はこれで終わりにしましょう。
 どうぞお着替えしてください。」


と言って着替えてもらうことにした。



着替えが終わると
お客さんから、


「次回以降はどうすればいいのでしょうか?」


と聞かれたので、


期間限定のお試し3回チケットを
ご案内して次の予約を入れてもらった。




10日後、2回目のセッションの日

スタジオのドアを開けて
待っていると、

前回の重たい雰囲気はなくなり
軽い感じでその方は来られた。

そして、セッションの中で、

「前回初めてセッションを受けた後に
 これまで何年も頭の中でモヤモヤ
 していたことが気にならなくなりました」

と言ったのだった。




これで、
ひとまず頭と心が整理されて
身体と向き合うための準備が整った。


この準備が整わないと
身体と向き合うことができないことがある

なぜなら
身体の課題は山積みだから。


簡単に脚が細くなったり
大きな変化を成し遂げられるわけではない
というのが正直なところ。

だからこそ、
優先的に気になっていることは
ある程度クリアにしておく必要がある。


準備が整ったからか
この日のセッションでは、
さっそく脚に変化があらわれた。


「あれ?脚細くなってます。
 自分の脚じゃないみたい!」


「本当だ!かなりスッキリしましたね」


毎度のことながら
美脚整体をした後の変化は
施術してる側も驚いてしまう。




この日、
どんなことをお伝えしたのか
その秘密を話してみようと思う。






つづく



※この物語はフィクションです。
実在の人物や団体などとは関係ありません。


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