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音楽、本、映画の感想ノート。あるいは生活の中で感じたこと、考えたこと。

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2023年、今年出会ってよかった作品

映画『あのこは貴族』  小説も良かった。押し込められてた世界から抜け出して新しい自分に出会いなおしていく感じだった。誰かと連帯すると世界の見え方が変わっていくこともあるんだという希望を感じた。 『PLAN75』  一見、制度として実現しなさそうな設定だけど、この映画を観てから、こういう感覚って実はすでにいろいろなところに根付いてしまっているんじゃないかと怖くなった。「設定」とか「仮定」の話ではなく、実はこの世界と地続きの作品だと思う。 『スパイの妻』  後半で「ハッ」とさ

    • 一言感想メモ (ドラマ・映画)

      ドラマ編家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった  父の死、そしてダウン症の弟、不治の病の母を持つ岸本家を描いたドラマ。第1話の最後で「悲劇などとは言わせませんよ」という宣言のようなセリフがある通り、7割くらいはコミカルな作品。シリアスなシーンもあり、コミカルとシリアスのジェットコースターのよう。ただ、作り手側が安全装置をしっかり真摯に考え作ってくれたジェットコースターだと感じたので、頭がクラクラせず楽しめた。弟役はダウン症の俳優が演じていたり、車椅子ユーザーの役

      • 一言感想メモ (ドラマ・音楽)

        ドラマ編silent  登場人物のほとんどが根が優しく、ただ不器用な面も持ち合わせていて、視聴者を振り回しすぎない程度に揺さぶってくる。あえてジャンル分けするならば「恋愛ドラマ」だと思うし、公式サイトをパッと見た感じでもそういう印象を持つ。だけれども、最終回まで観た感想としては「人と人との関わり」とか「優しさ」というものが、もっと確かな軸になっていたと思う。そこがとても良かった。  それぞれの思いが行き違ったり、時には衝突しても、「あなたに幸せでいてほしい」という思いを手放

        • 一言感想メモ (映画・本・音楽)

          映画編いとみち  言葉が必要なときに言葉が見つからない状態というのが、僕にとってもリアルな話だった。暗い部屋の中で三味線を弾くシーンがたまらなくかっこいいけど、同時になぜか切なかった。同じ店のメンバーや同級生の伊丸岡など、主人公の周りもいいキャラクターが多かった。勝手な思い込みかもしれないけど、三味線ってめっちゃロックかもしれない。 はちどり  「理不尽」がひとつのテーマだと思う。その中で登場する塾の講師のキャラクターが素晴らしくて救いだった。大きな理不尽は勝手に降り注

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        記事

          ひとり映画鑑賞会『青めぐる青』

           最近、Podcast で読書会をしている人たちの配信を聴いて、”読書会”って楽しそうだなぁという憧れを抱いてしまい、自分も似たようなことしてみようかという気持ちになりました。ただ、本についての感想もいいのですが、以前から、「自分が note に書いてる映画の感想って本当にざっくりとしか書いてないし、作品にしっかり向き合ってない気がする……」という罪悪感のようなものがあったので、映画の読み解き(のようなもの)をやってみようと思いました。(ひとりだけど)  今回は初めてという

          ひとり映画鑑賞会『青めぐる青』

          握手を交わした本

           ステージの上で『笑顔』にスポットライトが当たる。とてつもない数の観客はそれにうっとりしている。  次に『夢』と『希望』にスポットライト。観客たちは拳を上げて熱狂し始める。  最後に『感動』が壮大な音楽とともに登場する。観客たちは目頭を抑えたり、すすり泣いたりしている。  そんな中で、戸惑いの表情を浮かべているある一人の観客がいる。その人は疑問に思っている。 「いま笑顔でいなければならないの?」 「夢や希望って何?」 「皆はどこにどういうふうに感動したんだろう?」 「

          握手を交わした本

          最近、聴いてる曲 (2023/02)

           ここ3ヶ月くらいで、個人的によく聴くようになった曲を紹介していきます。 anemone / Chouchou  リマスターされていたり、ピアノとボーカルのみの「Dear anemone,」があったりと、いくつかのバージョンが楽しめる曲。Chouchou は「Innocence」という曲が個人的に大好きで今でもずっと聴いていますが、こちらの曲は何故かずっと見逃していました……(見つけられて良かった!)。全体的に物悲しく、それでいて優しい雰囲気を纏っているのは「Innoce

          最近、聴いてる曲 (2023/02)

          最近、読んだ本&観た映画 (2023/01)

           最近読んだ本や観た映画の中から2作ずつ選んで、感想を書いておこうと思います。 くるまの娘 / 宇佐見りん  著者のデビュー作『かか』が良かったので、こちらの作品も。不安定な家族に対して同情や怒りがあり、何かに巻き込まれたと思えば少し引いた目線でみていたりと、揺れ動く感情を丁寧に描いているなと思いました。切実なものをできるだけ切実に描こうとしている事がもう既に切実なのかな、というか……。『かか』を読んだ時にも感じたけれど、「その感情をこういう風に表現するんだ……!」という

          最近、読んだ本&観た映画 (2023/01)

          今年よく聴いた曲(2022年編)

           2022年、個人的によく聴いた曲をまとめます。noteで過去に紹介したことのある曲がほとんどになりますが、印象が変わったところも多少あるはずなので、あらためて感想を書きたいと思います。発売・配信日は問わず、「今年、個人的によく聴いた曲」という括りです。 幸せな食卓 / ふたりの文学  気怠げで、昼食後の昼寝タイム的な曲調。不思議な音が広がりふわふわ浮遊しているかのようで、いい意味で着地せずに漂っているかのようです。『曲集』というアルバムに収録されていますが、全体的に馴染

          今年よく聴いた曲(2022年編)

          最近、聴いてる曲 (2022/10)

           最近、聴いてる曲を紹介していく記事です。順不同で短めに感想を添えて紹介させていただきます。 あたたかくて甘い海 / For Tracy Hyde  安心して身を委ねられるようなゆったりとした雰囲気を纏う曲。海の上を気持ちよく漂っているような気分にもなります。MV のコメント欄の「メロディアスなベースがとても気持ちいい」というコメントで気づきましたが、ベースを追うのも楽しい曲です。タイトルとは相反する「あたたかくもなくて甘くもない ほんとうの海を」という歌詞で終わるのがい

          最近、聴いてる曲 (2022/10)

          「保留」とか「干渉しない」というポジティブな判断

           僕は、昔からゲームの文化にあまり触れてこなかった方なのだけれど、ポケットモンスターのシリーズ作品は何作かプレイした経験があるし、今でも大好きだ。小学生で、当時の社会現象にもなったあの熱を浴びたのは大きいのかもしれない。中学生になったくらいのタイミングで、一時期、シリーズ作品から離れたけれど、数年前に DS を中古で買ってから、最近になっても過去の作品を楽しんでいる。ポケモンは新しいモンスターが追加され、「世代」を重ねる。リメイクやマイナーチェンジ版も発売されるから作品数はな

          「保留」とか「干渉しない」というポジティブな判断

          最近、観た映画 (2022/07)

          最近観た映画の個人的感想を綴りたいと思います。 リトル・フォレスト  五十嵐大介さんによる漫画を映画化した作品ということらしいです。映画は、『夏』『秋』『冬』『春』の4部作。東北の小さな集落・小森に住むいち子の生活 (主に食生活) を四季の流れとともに描いた作品。自給自足のような生活をしているいち子の、田畑で米や野菜を育て調理し食べる姿、地元の人との交流などが丁寧に描かれています。栽培・調理における知恵をいち子の言葉で解説するような形で進んでいくので、栽培・調理の経験が少

          最近、観た映画 (2022/07)

          最近、聴いてる曲 (2022/07)

           個人的に少しばかり生活のリズムが変わり、最近は「そういえば、きょう音楽をまったく聴いてないな……」という日すらあるのですが、「最近聴いてる曲」という括りの記事は5月から書いてないようなので、3ヶ月分になりますが、久しぶりにこの形で書いてみようと思います。 春 / FLOWER FLOWER  映画『リトル・フォレスト』を鑑賞したのがきっかけで聴き始めた曲です。映画の方も「こういう感じの映画っていいなぁ……」と思えるような作品で、そちらの感想もまた近いうちに書きたいなと思

          最近、聴いてる曲 (2022/07)

          好きになった作品(音楽・映画・本)~2022年 上半期

           その年の上半期に個人的に好きになった作品を紹介するシリーズ。昨年は音楽限定で紹介をしましたが、今年は映画や本に触れる機会も多かったので、そちらも含めて紹介したいと思います。 ●音楽部門ムーンパレス / RAY  この記事を書こうと決めた数十分後に Lyric Video が配信されるという奇跡にびっくりしています。以前にも少し感想を書いたのですが、サビで旋律が2つに分かれた瞬間の、心が浄化していくようなあの心地よさがこの曲の第一の特徴だと思います。  RAY の楽曲の

          好きになった作品(音楽・映画・本)~2022年 上半期

          想像をやめない世界 ―『新世界より』の感想

          この文章について  この文章は2008年に出版され、第29回日本SF大賞を受賞し、のちにアニメ化もされた『新世界より』(著者:貴志祐介) の個人的な感想と考察 (…と呼べるかは微妙) になります。僕は8年前に小説を読み、2年前にアニメを観ました。アニメを完走したとき、「小説を再読しなければならない」という強い思いに駆られたのですが、なんだかんだで2年も間が空いてしまいました。再読することで、あらためて大作・傑作だと感じたのでこの文章を書いています。  物語の核心部分にはで

          想像をやめない世界 ―『新世界より』の感想

          最近、読んだ本 (2022/01)

           年を越しても読書の習慣が続いているので、再度、最近読んだ本をまとめていきたいと思います。前回同様、感想は一言、二言で留めます。 いまさら翼といわれても (角川文庫)www.amazon.co.jp748円(2022年01月19日 20:15時点詳しくはこちら)Amazon.co.jpで購入する<

          最近、読んだ本 (2022/01)