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証拠 【白骨化スマホ】

「もう、なんか情報過多でさ」
そう話す彼女の運転で山道を登っている。
突然すべてが煩わしくなり、スマホを山に放棄したのだという。

「だけど結局、不便で買い直したりして」
そう話していると、彼女の新しいスマホが小刻みに震えた。

「あれ、誰だろ」
鳴った電話はすぐに切れた。

「だけど、履歴とか消し忘れたから気になっちゃって。スマホって、その人本人みたいなもんだから」
もう白骨化してたりして、と冗談を言いながら、彼女は珍しく真面目な顔になった。

車は途中から道を外れて、ある地点で止まった。
「ちょっと、まってて」

彼女が去ると、彼女の置いて行ったスマホが鳴った。私は迷わず電話に出た。
「やっと来てくれたね」
弱々しい少女の声がした。
「君は、生きているんだな」
「わからない……だけどこのスマホはまだ生きているから……」
「わかった、探してやる。そのスマホは君のものか?」
「ええ、そう。私の大切な情報が詰まっているわ。あの女が私にしたことも全部……」



[完]


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