開沼博さんと行く福島第一原発
2/10に開沼博さんという福島の専門家の方と、福島第一原発に見学にいくのだけど、ご一緒しないか。
そんなメッセージが、友人の税所篤快くんからありました。福島第一原発は一度行かなければと思っていた場所だったので、特に詳細を聞かずにOKをしました。
自分が行ったからといって、世の中が何か劇的に変わるということはない。ただ、観光に身をおいている人間として、また日本人として、福島原発に対して、スタンスや考えを持つのはとても大事なことです。何事もそうですが、実際に現地に足を運ぶことの意味は大きい。
ちなみに詳細な事実や数字に関しては、ここでは書きません。誤った情報を書きたくないのと、それに関しては今回コーディネートをしてくださった開沼さんの本に十分に書いてあるからです。
今回は福島第一原発に行き、何を感じ、何を考えたかについて書きます。
東京電力廃炉資料館
朝6時に池袋駅に集合し、9時半ほどで東京電力廃炉資料館に到着しました。
まずは冒頭の原発資料館へ行き、技術者の方から話を聞きました。
どうしてこのような事故が発生したのか?その時何が起きたのか?今後どうするのか?が東電の方の言葉で語られる。
まず謝罪の言葉から始まったこの時間は、とても重たかったです。
福島第一原発内にはGreen Zone、Yellow Zone、Red Zoneの3つがあり、ほとんどの区域がGreenの格好でいける状態になっているという。
水素爆発が起きた時に、これだけ分厚い鉄板に穴が空いたという。
廃炉に向けた今後の方針に関して。汚染源を取り除く、汚染源に近づけない、汚染水を漏らさないの3つ。
福島第一原発へ
1時間ほどの東京電力廃炉資料館のレクチャーを受けて、バスに乗り、福島第一原発へ向かいました。ここからはカメラやスマホを持ってはいけないので、自分の写真はないです。写真を撮ってはいけない理由はテロの防止とのこと。
福島第一原発までの道中、震災以降使われなくなったかっぱ寿司やトヨタのショップ、放置された田んぼを通りました。8年前に行った震災のボランティアの記憶が蘇る。時間が止まっていました。
第一原発に到着後は、金属探知機の検査を受け、身分証明書を照合し、中に入りました。
ガイガーカウンターを胸元につけて、原発に近づく度に数字が上がっていくのがわかりました。ここまでの数字であれば人体に影響がないと言われながらも、どこか緊張し、心拍数が上がっている自分がいました。
9年前、テレビでみた景色だ。そう現実感のない中、あたりを見回します。正直、原発1号機〜4号機を間近で見たことを、うまく言葉にすることができない。
自分の理解を遥かに超えたものが目の前にあり、そういったものに自分の生活が支えられている。他人事ではないと同時に、どう向き合っていいかわからない自分がいました。
最後に報告用も兼ねて集合写真を撮ってもらいました。神妙な顔...。
世界中から福島第一原発に訪れています。
福島第一原発の入り口施設に戻り、390円の昼食を食堂で食べて、元にいた東京電力廃炉資料館に戻り、締めのレクチャーを受けました。
振り返りの時間が、何より価値があった
環境省が運営しているリプルン福島、水上風力発電を見に行った後、Jビレッジの喫茶店で振り返りをしました。1人1人が気づいたことを共有し合うのですが、その時間がとにかく有意義でした。
例えばこんな声が上がりました。
「今まで被災者側の声はよく聞いていたけれど、東電の人の声をしっかりと聞くの初めてだった。」
・官僚的な組織の中で、いかに重たい意思決定があって、ようやくここまできたのを痛感させられた。
・変わってもいいので、中長期的なビジョンを描いていくべきだ。地元住民との合意も大事だが、東電がそのビジョンを示すべき。
・写真撮影の時、いったいどんな顔をして写ればいいかわからなかった。
・安全性を高めるというのはわかりやすい表現だが、具体性にかける。一体どこまでいけば安全性が高まるのか?その指標は?
・街を元気にするとは?それは一方的な押し付けなのではないか。
・原発があることにより、地域の経済的規模を支えていることは一つの事実。それは震災前も、後もそうだ。
同じ体験をした人同士で振り返りあうことにより、周りの人の気付きが、自分の言葉になっていきました。
特に「今まで被災者側の声はよく聞いていたけれど、東電の人の声をしっかりと聞くの初めてだった。」の考えを聞いた時は、ハッとさせられました。本当そうだったな、と。
行ってみないとわからない
ゼミ生みたい
今回は初めての福島第一原発視察でした。まず、素敵な機会をくれた開沼さん、税所くん、個性的な参加者の方々に感謝をしたいです。
今まで数え切れないほどの福島第一原発のニュースを見て、情報に触れていたのですが、やはり行ってみないことにはわからないことだらけでした。1回目に行った今、正直1割も消化しきれていない自分がいます。2回目、3回目はどう感じるんだろう。
また、今回は深く書かないですが、Dark Tourismの可能性をより強く感じました。帰りの道の車で開沼さんとがっつり話させてもらった時間は、とにかく貴重でした。近い将来、何か一緒にプロジェクトを作るかもしれないです。
この本を事前に予習していったのですが、とても読みやすかったです。昨年ベストセラー本になった「ファクトフルネス」に感銘を受けた人に特に読んでもらいたいです。日本人が知るべきファクトが詰まってる。
最後に。実はMATCHAでも一度特別に許可をもらって取材をさせてもらっています。よろしければ、こちらもご覧ください。8言語で書いてある大作です。
最後まで記事を読んでいだきありがとうございます。毎日更新をしているので、よかったらまた読んでもらえると嬉しいです。