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ゴルフパフォーマンス向上に必要な筋力

みなさんこんにちは!
いかがお過ごしでしょうか。

少しずつ暖かくなってきましたので、ゴルフも気持ちよくできる気候でないでしょうか。

さて、本日はゴルフパフォーマンス向上に必要な筋力というテーマで書いていこうと思います。

ゴルフに必要な、柔軟性や関節可動域に関してはまた別の記事で書かせていただきます!


ゴルフパフォーマンス向上に必要な要因

ゴルフのパフォーマンス向上にはスイングの技術を高めることが何より重要だと思います。
本記事ではスイングの技術とは別で、身体的な面(筋力、柔軟性、関節可動域など)からパフォーマンス向上に必要なことを記載していきます。

では、身体的な面から見たゴルフパフォーマンス向上に必要な要因について説明していきます。

1.ヘッドスピード
ゴルフのパフォーマンス向上のための要素の1つに、ヘッドスピードの向上が挙げられます。ヘッドスピードが上がるこということは、飛距離を伸ばすことに繋がります。
トレーニングによって筋力やパワー、柔軟性を高めることでヘッドスピードを向上させることができます。
私が指導してきた方々もトレーニングによって筋力、柔軟性が向上して飛距離が伸びました。
本日はこの筋力について詳しく書いていきます。

2.傷害予防
パフォーマンスを向上させるためには傷害予防も大切です。

スポーツ傷害は大きく「外傷」と、「障害」に分けられます。
外傷は、捻挫や肉離れなど一度に大きな衝撃が加わって発生するもので、障害とは特定の部位に微細な力が繰り返し加わり生じるもの(使いすぎ症候群:overuse syndrome)です。
ゴルフでは、主にスウィングに伴う障害が多いと言われています。

怪我をしてしまうと、練習やトレーニングを中断することになってしまい、結果的にパフォーマンスを下げることになってしまいます。
ゴルフの怪我は、トレーニングを行うことによって減らすことができます。これは、正しいトレーニングによって、筋力と柔軟性が向上するためです。

トレーニングを行うと柔軟性が低下すると誤解されることもありますが、適切な可動域で動作を行えば、柔軟性の低下はおこらず、むしろ柔軟性を高めることができます。
(※ゴルフで多い怪我や、セルフケアの方法は、また後日noteに詳しく書かせていただきます。)

以上のことから、ゴルフパフォーマンス向上には、正しいトレーニングを行うことがかなり重要となります。

では実際にどの部位の筋力を向上させればいいのかを解説していきます。


ゴルフで鍛えるべき部位

ゴルフスイングでは、下半身と体幹部(お腹、胸、背中)の筋が主に使われるため、この部位を鍛えることがパフォーマンス向上に貢献します。

①下半身の筋

ゴルフスイングでは、下半身→体幹→抹消(肘、手首)→クラブヘッドの順で力を伝達させて行くため、下半身によって大きな床反力を生み出すことがヘッドスピードの向上には重要になります。

床反力とは床と身体の接触部位から生じる反力のことです。床反力は、体重や足の推進力で地面を押した時に、それと同じ力が地面から反力として作用するものです。

と言われても少し難しいですよね、、、

床反力の分かりやすい例を引用しましたので、以下の文を参考にしてください。

体重計に乗って静止すると自身の体重が表示される.体重計の上でしゃがみ込み動作を行うと動作のはじめは表示される値が体重よりも小さくなり,後半になると体重の値を越えて大きくなり,最終的に静止すると体重の値に戻る.このことは,身体重心の移動が床反力と密接に関連していることを示唆している.

福田航 「床反力と床反力作用点」『理学療法ジャーナル』52巻8号,2018年8月

このように、ヘッドスピードの向上には下半身の筋力を鍛えて床反力を大きくすることがとても重要です。
屈伸運動で考えると、先ほどの体重計の例からも、しゃがんだところから、立ち上がる時に床反力が大きくなることがわかります。

この動作を関節の動きで言い換えてみると、
しゃがんでる時は足首、膝、股関節が曲がる(専門的な言い方で足関節の背屈、膝関節の屈曲、股関節の屈曲といいます)。
そして立ち上がる時は足首、膝、股関節は伸びる(専門的な言い方で足関節の底屈、膝関節の伸展、股関節の伸展といいます)。
このようになります。

従って、床反力を出すのは足首、膝、股関節を伸ばす時だということが分かります。

★屈伸動作での身体の動きまとめ
しゃがむ時

足関節の背屈
膝関節の屈曲
股関節の屈曲

立ち上がる時
足関節の底屈
膝関節の伸展
股関節の伸展

また、この3つの関節の中で一番大きな力を出せるのは股関節です。(股関節には、大きな筋肉が多数あるため)
そのため、股関節を伸ばす動作(股関節の伸展)で使われる筋肉を鍛えることが床反力を高めるためには最も重要となります。

股関節伸展で働く筋肉で、主として大きな力を出せるのがお尻(殿筋群)ともも裏(ハムストリング)です。

もちろんゴルフスイングは上記の筋群のみではなく、股関節を回旋させる筋肉(股関節外旋筋群、股関節内旋筋群)も働きます。
そのため、1番床反力を出せるお尻、もも裏の筋を中心に股関節周りの筋肉も鍛えるといいでしょう。

左:ハムストリング 右:臀筋群


トレーニング種目としては
スクワット
ルーマニアンデッドリフト
リバースランジ
などを選択すると良いでしょう。


②体幹部の筋(お腹周り)

ゴルフで鍛えるべき部位はどこかと聞かれると、1番に思いつくのは体幹ではないでしょうか。
これは、ゴルフには体幹トレーニングが重要だとよく耳にするからだと思います。
もちろんゴルフは回旋系の競技ですので、体幹の筋力は必要です。しかし、それだけを鍛えればいいものではありません。

下半身の筋の説明でも触れたように、ゴルフスイングは下半身で生み出されたパワーが体幹を伝わっていきます。
そのため、体幹の筋群はパワーの生み出す根源ではありません。下半身で生まれたパワーが体幹へ伝わって行くのです。

ただ、下半身からのパワーをゴルフクラブに伝えるために、安定した体幹が必要になります。
従って、体幹のみ鍛えるのではなく、下半身に加えて体幹を鍛えることがゴルフパフォーマンスアップには重要です。

③体幹部の筋(胸、背中)

体幹とはコア(いわゆるインナーマッスルと呼ばれるお腹周りの深層の筋)を想像するかと思います。


しかし、体幹部とはコアの筋だけでなく胸、背中、そしてお腹を含みます。

胸、背中の筋肉はスイング時に働きます。下半身ほど優先度は高くありませんが、下半身のトレーニングだけを行うのは安定したスイングにはつながりません。
胸、背中の筋肉も鍛えて、下半身からの床反力を末梢(ゴルフクラブ)まで安定して伝えるために、また、体がスイング時の遠心力に負けないようにしていくことが必要です。

左:体幹前面の筋 右:体幹後面の筋

トレーニング種目としては
ベンチプレス
1アームロウ
懸垂
などが良いでしょう。

鍛える部位まとめ

ゴルフスイングは、下半身→体幹部→末梢(ゴルフクラブ)の順で力を伝えていくため、下半身を鍛えて床反力を大きくすることが重要です。

鍛える部位は
下半身(特に股関節)
お尻、もも裏、股関節周りの筋など

体幹部
胸筋、背筋群、腹筋群など
です。

今回の記事でトレーニングの重要性をご理解して頂ければ幸いです。


最後に

最後までお読みいただきありがとうございます!

今後は、ゴルフパフォーマンス向上のために必要な関節可動域や、具体的なトレーニングやストレッチ、そしてゴルフによる障害の予防などについて書いて行こうと思います。

少しでも皆さんのゴルフライフが豊かになれば幸いです。

今後とも何卒よろしくお願いいたします!

参考文献
・Paul J. Read,1 MSc, CSCS Rhodri S. Lloyd,2 PhD, CSCS*D. Strength and Conditioning Considerations for Golf. NSCA JAPAN
Volume 23, Number 10, pages 37-44
・岩本潤「ゴルフ障害・外傷の疫学」『臨床スポーツ医学 』vol.33 No.3 
・福田航 「床反力と床反力作用点」『理学療法ジャーナル』52巻8号,2018年8月
・中村隆一 斎藤宏 長崎浩(2019)『基礎運動学』

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