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研究者はなぜ知りたいか?【研究者日記】

どうも、あおきです。医学部でコミュニケーション教育と心理学教育を行っている研究者兼心理カウンセラーです。今回は、「科学者が知らないことを知りたいと思う理由」について話してみたいと思います。このテーマ、意外と奥が深いんですよね。

科学者は「知りたい」という好奇心や探究心を持って研究をしています。でも、単にそれだけが理由なのかと聞かれると、私は「それだけでは説明しきれない」と思っています。今回は、その背景に何があるのか、そして「知りたい」という気持ちはどこから来るのかを考えてみましょう。

科学者が研究をする理由のひとつに、「好奇心」があります。これは間違いないです。未知のことにワクワクして、新しい発見をすることで得られる満足感。これが科学者を動かす大きな原動力です。でも、この好奇心って、一体どこから来るのでしょうか?

進化心理学的な視点から考えると、好奇心は「生存本能」に深く根ざしていると言えます。人間は危険を避けたり、新しい食料を見つけたりするために、知らないことを知る必要がありました。つまり、知識を増やすことは、生き残るための戦略だったわけです。この「知りたい」という欲求がなかったら、私たちの祖先は生存競争に負けていたかもしれません。

今は食料を探す必要もなく、身を守るために知らない動物の習性を学ぶ必要もあまりない時代です。それでも、私たちには「知りたい」という気持ちが残っています。この欲求は、進化の過程で生き延びた私たちに組み込まれた本能の名残かもしれません。

とはいえ、好奇心だけで全ての研究が説明できるわけではありません。例えば、ウェルビーイングの研究をしている科学者がいたとしましょう。この科学者が「私は純粋な好奇心で研究しているだけで、価値観や社会的な良し悪しには関心がない」と言ったらどう思いますか?

ウェルビーイングというテーマ自体が「価値観」を含むものです。なぜなら、ウェルビーイングには「幸福」や「良い状態」といった主観的な要素が含まれているからです。つまり、そのテーマを研究すること自体が、「幸福」や「良いこと」に興味があることを示しているわけです。

科学者自身がそれを意識していないとしても、研究テーマの選択にはその人の価値観が反映されています。たとえば、「ウェルビーイングが良いものだ」と信じているからこそ、そのテーマを選んで研究している可能性が高いのです。もしウェルビーイングに全く興味がなければ、別のテーマを選んでいるはずです。

さらに、科学者の研究には、結果として社会的な影響が生じることが多いです。ウェルビーイングの研究成果が、例えば教育現場や医療現場で活用されることで、人々の生活がより良くなる可能性があります。科学者自身がそれを意識していなくても、研究には社会的な意義が付随していると言えます。

ここで面白いのは、科学者が「社会的意義を考えていない」と言ったとしても、その研究の成果が社会に影響を与える場合があるということです。つまり、科学者が主張する動機と、実際に研究が持つ影響は必ずしも一致しないのです。

また、研究は科学者自身の自己実現や達成感にもつながります。新しい発見をすることは、科学者にとって知的な喜びをもたらします。この喜びが、さらなる探求への原動力となります。これも、ただの好奇心だけでは説明しきれない部分です。

ここで「好奇心だけでは止まれない」というポイントに戻ります。知りたいという気持ちは生存本能に基づいていますが、それだけではなく、価値観や社会的影響、自己実現といった多様な要素が絡み合っています。そのため、科学者の行動は単純なものではなく、複雑な動機の集合体と言えます。

まとめると、「知らないことを知りたい」という科学者の行動は、単純な好奇心だけでは説明できません。その背後には、生存本能や自己実現、社会的影響、価値観が複雑に絡み合っています。ウェルビーイングの研究を例に取ると、そのテーマ自体が価値観を含んでいるため、科学者が「価値観を持ち込んでいない」と言っても、それを完全に排除するのは難しいでしょう。

だからこそ、研究には奥深さがあります。科学者自身がどのように感じているかに関係なく、研究は人間の本能や価値観、そして社会との関係性を反映しています。それが科学の面白さでもあり、魅力でもあるのではないでしょうか。

今回は少し哲学的な話になりましたが、「知りたい」という気持ちの背景にあるものを考えるきっかけになれば嬉しいです。

それでは最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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