高らかに不屈を叫べ

モノクロの映像がすでにかっこいい
メンバーが出てきた時から後ろ姿だけでもすでにかっこよかった
このMUSIC AID FEST.の趣旨的に、パフォーマンスは事前にリモート収録ということ、放送日当日の葉月のTwitterによるとメンバーひとりひとりがスタジオで三密を徹底的に避けて撮影したものだということ。それらを頭に入れていても、それでもメンバー5人がまるでその場に集まって演奏しているかのような迫力ある映像。
とにかくかっこよかった!
久々に動くlynch.を見ることができて、MUSIC AID FEST.に呼んでくださったLUNA SEAの皆さんありがとうございました。
まさかこのような形で「DON'T GIVE UP」のパフォーマンスを見られるとは思わなかった。
でもそもそも「DON'T GIVE UP」自体が今回のこのコロナ禍(コロナ禍って言葉はあまり好きじゃないけれど)、このことがなければ世に生まれていなかった曲かもしれない。
コロナで失ったものを数えるより得たものを数えていきたい。
そう考えるとlynch.の「DON'T GIVE UP」はこれ以上なくこのフェスの趣旨にふさわしい選曲と言えるのかもしれない。
「JUDGEMENT」~「BALLAD」までの時期のようにメイク薄かった(というかしてなかった?)けど、その時期と比べてメイクしてようがメイクしてまいが履いてる靴がブーツだろうがサンダルだろうが今のlynch.は揺るがない。それはきっとみなぎる自信から来るかっこ良さ。そして出てきた瞬間からメンバーみんなもうすでに演奏前の立ち姿からしてかっこよかった。一時期はメイクしてなきゃ嫌だと思っていたのにそう思ったことが自分の中で大きな収穫だった。
変な話かもしれないけどこの逆境の中で生まれた「DON'T GIVE UP」が最近発表されたlynch.の曲の中で1番lynch.らしさを感じる。もちろんシンセの音を多彩に取り入れた最新アルバム「ULTIMA」も文句なしにかっこいい。むしろ、だからこそlynch.サウンド直球どストレートな「DON'T GIVE UP」が生まれたのではないかとも思う。正直音源で聴くよりも胸に刺さってかっこいいと思った。今のlynch.の代表曲になりそうな勢いあふれる曲。〈生き様を 描いて〉という歌詞にある通りlynch.の不屈な生き様を表した曲。
あと玲央の髪がだいぶ伸びていて、表情はあまり見えなかったけどたなびく髪がその名前が示すようにまるで獅子のようだったのが印象的。

ちなみにこの「DON'T GIVE UP」が収録されたライブハウス支援企画シングル『OVERCOME THE VIRUS』は現在lynch.のオフィシャルサイトにて通販で購入できる他、音楽配信サイトやサブスクでも聴けます。通販でCDを購入したりデジタル配信やサブスクで聴いたりとどの方法でも、そこから製作費を差し引いたすべての収益をlynch.が今までに出演したすべてのライブハウスに分配、寄付しますとのことなのでご関心を持たれた方は是非に。ちなみに葉月がこのライブハウス支援企画のために“新曲を作っています”とTwitterに投稿したのは今年の3月30日のこと。そのとき作っていた「DON'T GIVE UP」をテレビで初披露したのが昨日5月31日のことだからこうして改めて文章にしてみると展開の早さにびっくりする。

5月31日、このMUSIC AID FEST.が開催された日は本来ならLUNA SEAの30周年記念ツアーファイナルのライブがテレビで生中継されるはずだったらしい。
lynch.も奈良でライブの予定だった。
しかし自分たちのライブが延期になってもLUNA SEAのメンバーは不屈だった。そのライブが放送されるはずだった日のその時間に、新型コロナウイルス感染拡大防止のために最先端で働いている医療従事者の人たちなど、私たちの生活やライフラインを守るために働くフロントラインワーカーの人たちのためにMUSIC AID FEST.を開いた。それだけでなく、そうしたフロントラインワーカーの人たちを支援するためのチャリティーも番組開始時刻からスタートしている。そして、その趣旨に賛同したLUNA SEAと縁の深い多くのアーティストがリモート出演しパフォーマンスを披露したりコメントを届けたりした。こんなこと、LUNA SEAじゃなきゃできない。
中でも二十数年前、ほとんど同時期に知ったLUNA SEAとシアターブルック。当時は道が交わることはないだろうと思っていたこの両バンドが2020年、LUNA SEA主催のフェスにシアターブルックが出演したよと言ってもきっと二十数年前の私は信じない。

ギリシャ神話に登場するパンドラの箱に最後に残されたのは希望だった。学生時代にこのことを知った時からずっと疑問に思っていた。さまざまな災いが詰まっていた箱なら最後に残っていたのも絶望なんじゃないかとずっとそう思っていた。
けれど今は違う。絶望を見たことのない人間が希望を見れるはずがない。この数ヶ月でそう考えるようになった。



最後に。蛇足になってしまうけどひとつだけ。このMUSIC AID FEST.が発表された時、出演者の中にMUCCの名前がなくてショックで泣いた。出演者に「and more…」とあったから追加でMUCCくるかなと思っていたけど結局なかった。
MUCCのアルバムプロモーションの時期とたまたまかぶったからかなとかいろいろと思い当たる要因はあるけど結局それは憶測になってしまうからここに書くのは止めておきます。
けれど。lynch.のファンの人なら覚えている人も多いかと思います。2015年、第1回のルナフェスの出演者発表のときのことを。
あのとき、出演者の最終発表のときまで期待したけど、結局lynch.に出演オファーはなくて。lynch.のメンバーはその悔しさを隠さなかった。
そして、3年後の第2回。lynch.は満を持してルナフェスに呼んでもらえた。MUCCは数少ない第1回、第2回ルナフェス皆勤賞。
だから心のどこかで第3回ルナフェスがあるならMUCCもlynch.も両バンドとも呼ばれるだろうなと、両バンドのファンの私は根拠も何もないのに勝手にそう思い込んでいました。
だからこそMUSIC AID FEST.出演者にMUCCがいなかったことがショックだった。
それ以上に、lynch.が出演してMUCCが出演しないなんて、ある意味第1回ルナフェスとは両バンドの立場が逆転するなんて夢にも思っていませんでした。

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